認知症初期集中支援チームとは?メンバーや支援内容、支援対象者の条件は?

認知症の人やその家族の意思が尊重され、できるだけ住み慣れた地域で落ち着いた暮らしを続けるためには、医師や介護職などの専門家が単体で関わるのではなく、有機的に連携して支援に当たることが重要です。

認知症初期集中支援チームは、認知症の人やその家族を支援するために設けられた専門家のチームです。

この記事では、認知症初期集中支援チームとは、メンバー、設置状況、支援内容、支援対象者の条件について解説します。

認知症初期集中支援チームとは

認知症初期集中支援チームとは、認知症が疑われる人やその家族が暮らす家庭を訪問し、アセスメント(見立て)とそれに基づく支援を行うことを目的とした、医療や介護などの専門職によるチームです。

認知症初期集中支援チームには、認知症の人の家族の相談などをきっかけとして関与し、アセスメントにより認知症を早期発見し、医療や介護など適切な対応につなげることが求められています。

「初期集中支援」という名前のとおり、認知症の人やその家族への支援を包括的かつ集中的に行い、支援機関は長くても6ヶ月程度です。

認知症初期集中支援チームの歴史

認知症は、他の病気と同じで、早期発見、早期診断、早期治療がとても重要です。

一部の認知症は原因疾患の治療により症状の悪化を食い止めることができますし、アルツハイマー型認知症のように症状が進行する認知症でも、初期のうちに治療を開始すれば症状の進行を遅らせることができます。

しかし、早期発見などの重要性が社会に浸透しておらず、また、認知症に対する偏見もあり、日常生活に大きな支障が出るくらい症状が悪化して初めて病院を受診するなど、認知症の発見が遅れるケースが後を絶ちませんでした。

こうした状況を踏まえ、厚生労働省が発表した認知症施策「オレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)」における7つの柱の一つ「早期診断・早期対応」の中に認知症初期集中支援チームの創設が組み込まれ、地域包括支援センターなどに設置され始めました。

新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)では、7つの柱の1つ「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」に「認知症初期集中支援チームの編成」が盛り込まれています。

認知症初期集中支援チームの設置状況

厚生労働省の発表では、2015年時点における実施見込数は306市町村です。

新オレンジプランでは、2018年度以降、全市町村で認知症初期集中支援チームを実施することを目標として掲げられていましたが、2017年7月5日の改定によって数値目標は削除されています。

一方で、チーム設置後について、「多職種で構成されたチームの活動等、先進的な取組事例を全国に紹介するなどチームが効果的に機能するよう、国及び都道府県が市町村のチームの体制整備を支援するとともに、市町村において、チームの事例から明らかとなった各地域の課題を地域ケア会議等で検討するなど、地域の実情に応じた取組につなげる。」という方針が示されました。

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認知症初期集中支援チームのメンバー

認知症初期集中支援チームのメンバーは、認知症の専門医に加え、医療や介護の専門職で構成されます。

認知症の専門医

認知症初期集中支援チームには、臨床経験などの要件を満たした認知症の専門医(嘱託医)を1人以上配置する必要があります。

チーム参加の要件は、創設当初は厳しく設定されていましたが、全国的にチームの設置が遅れていることを受けて緩和されています。

医療や介護の専門職

保健師、看護士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士などの国家資格を有し、業務年数や「認知症初期集中支援チーム研修」受講など要件を満たした人が、2人以上配置されます。

認知症初期集中支援チームの設置場所

認知症初期集中支援チームは、全国の地域包括支援センターなどに配置されています。

市町村、診療所、病院、認知症疾患医療センターなどに設定されている場合もあるため、事前に市町村の窓口に確認しておく必要があります。

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認知症初期集中支援チームの支援内容

認知症初期集中支援チームが行う主な支援は、以下のとおりです。

  • アセスメント
  • 医療機関の受診の促し・紹介
  • 介護サービスなどの紹介や利用支援
  • 日常生活のアドバイス
  • 認知症の家族のサポート

アセスメント

アセスメントとは、支援を行う前に行う見立て(評価)のことです。

認知症が疑われる人の生活状況、行動(症状)、家族関係などの情報を収集し、認知症かどうかの見立てを行います。

あくまで「見立て」であり、「診断」は専門の医療機関で受けることになります。

医療機関の受診の促し・紹介

アセスメントの結果、認知症の疑いがある場合は受診を促し、医療機関を紹介します。

あくまで「促し」であり、受診を強要・指示することはありません。

介護サービスなどの紹介や利用支援

アセスメント結果を踏まえ、本人や家族の日常生活に必要な介護サービスなどを紹介したり、事業所などにつないだりするサポートを行います。

日常生活のアドバイス

本人の状態に応じて、認知症の症状と付き合いながら自立生活を送るためのアドバイスや、生活環境を改善させるためのアドバイスなどを行います。

認知症の家族のサポート

認知症の家族(介護者)のサポートもチームの仕事の一つです。

認知症の知識付与、介護に関するアドバイス、支援機関の紹介など、家族の必要に応じたきめ細かいサポートを行います。

認知症初期集中支援チームの支援の流れ

認知症初期集中支援チームの支援は、以下の流れに沿って包括的かつ集中的に行われます。

  1. 家庭訪問
  2. チーム会議
  3. 初期集中支援
  4. 引継ぎ
  5. 引継ぎ後のチェック

家庭訪問

認知症の人の家族などからの支援要請を受け、チームが家庭訪問します。

家庭訪問では、本人の様子の確認、本人や家族からの聴取、家庭内の様子の確認などを行い、支援に必要な情報を収集します。

本人が拒否する場合は、折を見て何度も訪問し、本人と話をしながら信頼関係を築くところから始め、できるだけ本人や家族の負担にならないよう配慮します。

チーム会議(アセスメントに基づく対応の検討)

情報収集した結果に基づいてチームでアセスメントを行い、認知症かどうか、認知症の疑いがある場合はどのような医療・介護の支援が必要か、本人や家族にどのように働きかけるか、介護者へのサポートをどうするかなどについて話し合います。

チーム会議には、チームの構成員だけでなく、地域包括支援センターの職員、かかりつけ医、ケアマネージャーなどが参加し、支援内容を具体的に検討します。

なお、認知症の疑いがないと判断されたとしても、本人や家族が日常生活などに支障を訴えている場合には、利用できる制度を紹介し、関係機関に引き継ぐなどの対応を行います。

初期集中支援

本人に医療機関の受診を勧めるとともに、本人の状況に応じて介護サービスなどを紹介し、利用支援を行います。

本人に対する日常生活や生活環境改善に向けたアドバイス、介護者に対するサポートなども初期集中支援です。

引継ぎ

認知症初期集中支援チームが1つの家庭に関わるのは、長くても6ヶ月間です。

期間内に家庭訪問、チーム会議、初期集中支援を行って支援の大まかな道筋をつけた上で、地域包括支援センターへ引き継ぎます。

引継ぎ後のチェック

チームとしての関わりは、地域包括支援センターに引き継いだ時点で終了しますが、その後も、適切な支援が継続されているかどうか確認します。

認知症初期集中支援チームの支援対象者の条件

認知症初期集中支援チームの支援を受けるには、まず、以下の条件を満たす必要があります。

  • 40歳以上であること
  • 在宅で生活していること
  • 認知症が疑われる人、または、認知症の人

その上で、実際に支援の対象者になるのは、以下の条件を満たす人です。

医療・介護サービスを受けていない、または中断している

  • 認知症の診断を受けていない
  • 継続的な医療サービスを受けられていない
  • 適切な介護保険サービスに結びつけられていない
  • 認知症と診断されたものの、介護サービスが中断している

医療・介護サービスを受けているものの、認知症の行動・心理症状が著しく対応に苦慮している

  • 精神疾患を発症している
  • 認知症の人が一人で暮らしている
  • 夫婦暮らしで2人とも認知症を発症している
  • 老々介護をしている
  • 詐欺など財産被害を受けている

認知症初期集中支援チームの支援を受ける方法

チームの支援を希望する場合は、住んでいる地域の市役所または地域包括支援センターの窓口に相談します。

担当者が、本人の状況、家庭の様子、支援を必要とする内容などの事情を聴取し、チームの派遣が相当だと判断された場合はチームが家庭訪問を行います。

チーム派遣が相当でないと判断された場合でも、相談内容に応じて制度や専門機関などの紹介を受けることができます。

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