地域包括支援センターとは?配置される職員、業務の内容、利用方法は?

認知症など、高齢者の問題についての相談窓口になり、各種支援につなげる施設が「地域包括支援センター」です。

この記事では、地域包括支援センターとは、業務、利用方法について解説します。

地域包括支援センターとは

地域包括支援センターとは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、保険・医療の向上や福祉の増進を包括的・継続的に支援する(地域包括ケア)ための施設です。

介護保険法では、以下のとおり地域包括支援センターの目的が定められています。

「地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設」(介護保険法第 115 条の45)

引用:介護保険法

地域包括支援センターは、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員、主任ケアマネージャーなどが配置され、地域に暮らす人々の健康の保持や生活の安定に関する相談を受けつけ、関係する機関と連絡・連携をとりながら様々な支援を行っています。

保健、医療、福祉などの分野における包括的・総合的な支援によって、高齢者やその家族が住み慣れた地域で落ちついて暮らせる社会の実現に貢献しています。

地域包括支援センターの設置主体

地域包括支援センターの設置主体は、全国の市町村または市町村から委託を受けた法人です。

市町村から委託を受けた法人には、在宅介護支援センターの設置者、社会福祉法人、医療法人、公益法人、NPO法人、その他市町村が適当と認めた法人があります。

地域包括支援センターの設置数

2005年の介護保険法改正以降、全国各地で設置されています。

厚生労働省の発表では、2012年時点で、全国に4、328箇所の地域包括支援センターが設置されています(ブランチ、サブセンターの設置数は含まず)。

地域包括ケアとは

地域包括ケアとは、地域に住む住民が、住み慣れた地域で「その人らしく」また「安心して」暮らすことができるように、介護保険制度によるサービスだけでなく、地域の社会資源やネットワークを活用できるよう、包括的・継続的に支援することです。

地域包括ケアという考え方は、少子高齢化、要介護者・要支援者の増加、高齢者の独居や高齢者夫婦世帯の増加、認知症高齢者の増加、家族機能の低下、地域の相互扶助機能の低下、ニーズの変化・多様化などの状況に対応するために生まれた考え方です。

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地域包括支援センターに配置される職員

介護保険法によって配置が義務付けられているのは、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員(主任ケアマネージャー)の3つの職種です。

保健師

保健師とは、健康教育や保健指導などによって疾病予防や健康増進などを行う専門職です。

地域包括支援センターでは、主に介護予防ケアマネジメント業務に携わり、健康・医療・介護予防に関する業務を行います。

社会福祉士

社会福祉士とは、精神上・身体上の障害によって日常生活に支障がある人の相談を受け、福祉に関する助言・指導・支援を行う専門職です。

地域包括支援センターでは、主に権利擁護総合相談業務に携わります。

主任介護支援専門員

主任介護支援専門員とは、介護保険サービスや保健・医療サービスの提供者と連絡調整を図ったり、介護支援専門員に対する助言・指導を行ったりする専門職です。

主任ケアマネージャー(主任ケアマネ)と呼ばれることもあります。

介護支援専門員の実務経験を5年間以上積み、専門の研修過程を修了することで資格を取得できます。

地域包括支援センターでは、主に包括的・継続的ケアマネジメント支援業務に携わっています。

地域包括支援センターの業務

地域包括支援センターの業務は、大きく4つに分類されています。

  • 総合相談支援業務
  • 権利擁護業務
  • 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
  • 介護予防ケアマネジメント業務

総合相談支援業務

総合相談支援業務とは、地域に住む高齢者などの相談を受けつけ、相談の内容によって各種制度や専門機関から対応するサービスを選択し、相談者と各種サービス提供者をつなぐ業務です。

高齢者などが、住み慣れた地域で安心安全に住み続けていけるよう、介護、医療、福祉だけでなく、日常生活における相談を幅広く受けつけています。

高齢者本人やその家族だけでなく、地域住民が高齢者などについて相談することもできます。

例えば、「家族が認知症かもしれない。」、「認知症の親を、家族だけで介護するのは限界だ。」、「妻の状態に合った介護サービスを利用したいが、どうすれば良いか分からない。」など気軽に相談を持ちかけると、担当者が相談を受けつけ、対応するサービスを検討して橋渡しをしてくれます。

権利擁護業務

権利擁護業務とは、何らかの権利を侵害されている、または侵害される可能性が高い高齢者に対して、権利侵害の予防や対応を行う業務です。 

例えば、高齢者虐待の防止や虐待ケースへの対応、詐欺などの消費者被害の防止や被害に遭った場合の対応、後見状態(判断能力を欠く常況)で適切に財産管理ができない高齢者の支援などを行います。

「お隣のおじいさんが家族から虐待を受けているかもしれない。」、「親の判断能力が低下し、自分で財産管理ができなくなってきたので何とかしたい。」、「妻が、オレオレ詐欺に騙されてしまった。」などの相談をきっかけとして対応します。

具体的な業務としては、成年後見制度の利用促進、老人福祉施設などへの措置入所の手続、消費者センターなどと連携した対応、権利侵害を予防するための各種講座の開講、高齢者への注意喚起などを行っています。

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包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務とは、介護支援専門員が、高齢者一人ひとりの状態や置かれた状況、変化に応じた包括的・継続的なケアマネジメントを実践できるよう、地域の基盤を整備し、介護支援専門員一人ひとりへの支援を行う業務です。

包括的・継続的ケアマネジメントとは、本人の症状や病状、家族の支援、予測される変化を踏まえ、地域の社会資源やネットワークをフル活用して、本人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように支援することです。

例えば、妻子と3人で暮らす高齢男性が認知症を発症し、物盗られ妄想や財産管理能力の低下に加え、徘徊中の事故で足腰を悪くした場合における包括的・継続的ケアマネジメントを考えてみましょう。

  • 自宅やその周辺の危険箇所の確認、事故の予測と対策(自宅のバリアフリー化など)
  • 介護用品の準備(車いす、ベッド、介護車両の購入など)
  • 本人の残存能力で無理なく行えるリハビリテーションの検討(トイレ、入浴、趣味など)
  • 徘徊の対策(近隣住民への協力依頼、GPS,持ち物への氏名や連絡先の記入など)
  • 介護サービスの利用検討と手続(家族の介護力や希望などを考慮)
  • 成年後見制度の利用検討と手続(本人の判断能力の程度、財産、支援者の必要性などを考慮)
  • 介護者の負担へのケア
  • 症状が進行した場合の対応の検討

このように包括的・継続的ケアマネジメントでは、介護、医療、福祉など単体の支援ではなく、本人の状態や状況などを踏まえて生活全般の支援を検討・実践するとともに、将来的な変化にも対応できるようにしておきます。

包括的・継続的ケアマネジメント支援事業は、地域の介護支援専門員一人ひとりが包括的・継続的ケアマネジメントを実践できるよう、「地域ケア会議」などで助言や指導を行うものです。

介護予防ケアマネジメント業務

介護予防ケアマネジメント業務とは、介護が必要になるおそれが高い65歳以上の人などが、介護が必要な状態になるのを予防する目的で、対象者一人ひとりの状況や希望に基づいて「介護予防ケアプラン」を立てて支援する業務です。

また、日常生活における機能低下の程度に応じて、認知症予防教室、転倒予防講座などを紹介する業務も行っています。

いずれの業務も高齢者本人の希望に基づいて行われています。

地域包括支援センターの利用方法

地域包括支援センターを利用する場合、まずは、住んでいる地域の市町村に問い合わせましょう。

いきなりセンターを訪問することもできますが、「管轄違いで相談を受けつけてもらえなかった」、「事前予約制で出直さなくてはならなかった」、「相談までの待ち時間が相当かかった」などのケースが少なからずあるので、注意してください。

なお、地域によって地域包括支援センター以外の名称がつけられていることもあるので、事前確認が必要です。

「認知症の疑いがある」、「介護が必要になった」、「近隣に住む高齢者のことで相談したい」など、高齢者のことを相談したい場合は、まず、地域包括支援センターに相談してください。

認知症をはじめとする高齢者の問題は、早期発見と早期対応が何より大切です。

気になった時点で相談することを心がけておきましょう。

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