認知症ケア指導管理士とは?受験資格と合格率、初級と上級の違いは?

高齢化に伴って増加し続ける見込みの認知症患者のケアは、日本における重要な課題です。

近年、認知症ケアに関する資格が相次いで設けられており、認知症ケア指導管理士もその一つです。

この記事では、認知症ケア指導管理士とは、試験(受験資格、合格率、試験の内容、初級と上級の違い)、更新制度について解説します。

認知症ケア指導管理士とは

認知症ケア指導管理士とは、一般財団法人職業技能振興会及び一般社団法人総合ケア推進協議会が共同認定する資格です。

認知症ケア指導管理士は、厚生労働省の認可団体である職業技能振興会が認定することから国家資格だと勘違いされがちですが、民間資格です。

制度開始当初は、職業技能振興会のみが認定していましたが、資格レベルの向上を目的として一般社団法人総合ケア推進会が共同認定に加わりました。

総合ケア推進委員会とは、医師、看護士、栄養士などの資格所持者が設立した、医療、福祉、介護、保険分野の正しい知識や技術についての研究の教育、普及、推進に努め、あらゆる人が健やかに生活できることを目指す団体です。

また、2014年からは、より専門性の高い人材の育成を目指して「上級認知症ケア指導管理士」資格も創設されています。

認知症ケア指導管理士制度の目的

認知症ケア指導管理士制度の目的は、以下のとおりです。

今後ますます増えると思われる認知症の方への適切なケア、ケアを行う方への指導・管理を行える人材の育成など、介護・医療現場で認知症ケアに携わる方の専門性向上

引用:認知症ケア指導管理士(初級)認定試験|資格取得キャリアカレッジ(財団法人職業技能振興会)

介護・医療現場における認知症および 認知症ケアに対する専門性を高め、指導者としての人材の育成

引用:上級認知症ケア指導管理士認定試験|資格取得キャリアカレッジ(財団法人職業技能振興会)

厚生労働省の発表では、65歳以上の認知症患者は2012年時点で推計462万人(軽度認知障害の人を含めると推計862万人)おり、2025年には700万人(軽度認知障害の人を含めると1300万人)を超えるとされています。

こうした認知症患者の急激な増加を見据え、認知症ケア指導管理士の資格取得者には、認知症患者のケアだけでなく、ケアに従事する人の指導・管理もできる人材を養成することにより、認知症の人やその家族が暮らしやすい環境を整備する一員となることが求められています。

認知症ケア指導管理士の人数

職業技能振興会の発表では、第1回試験が開始された2010年から2017年までに認知症ケア指導管理士試験に合格した人は、約16000人です。

認知症ケア指導管理士試験の合格率

認知症ケア指導管理士試験の合格率は、第1回~第16回までの平均が58.3%です。

上級資格である上級認知症ケア指導管理士試験の合格率は第1次試験が7.4~12.4%、第2次試験が86.5~96.7%(第1回~第4回)です。

認知症ケア指導管理士が活躍している場所

認知症ケア指導管理士資格保持者は、医療機関、デイサービスセンター、グループホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保険施設など様々な医療・福祉機関で活躍しています。

看護士、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、ヘルパー、精神保健福祉士、社会福祉士、作業療法士、理学療法士などの資格保持者で、認知症ケアに携わる人の受験が多くなっています。

認知症ケア指導管理士(初級)試験の受験資格と試験

認知症ケア指導管理士の資格を取得するには、試験に合格する必要があります。

認知症ケア指導管理士(初級)試験の受験資格

認知症ケア指導管理士(初級)試験に受験資格はありません。

年齢、性別、職業だけでなく、認知症ケアの実務経験も問われません。

つまり、医療や介護の現場で認知症ケアを実践している人でも、認知症の家族を介護・ケアする人でも、認知症に関心があるだけの人でも、誰でも受検することができます。

認知症ケア指導管理士(初級)試験の日程

認知症ケア指導管理士(初級)の試験は、毎年7月と12月に実施されます。

試験日程は、以下のとおりです(カッコ内は2018年7月の日程)。

  1. 試験申請(受験料振込:11月20日~5月11日、願書送付:11月20日~5月14日)
  2. 認定試験(2018年7月8日)
  3. 合格発表
  4. 認定証の交付

認知症ケア指導管理士(初級)試験の内容

試験はマークシート方式で、試験時間は90分、問題数は60問です。

出題科目は、以下のとおりです。

  • 認知症高齢者の現状
  • 認知症の医学的理解
  • 認知症の心理的理解
  • 認知症ケアの理念と認知症ケア指導管理士の役割
  • 認知症ケアの実践
  • 日常生活支援
  • 認知症への薬物療法
  • 認知症への非薬物療法
  • 家族への支援
  • 認知症ケアにおける社会資源
  • 応用問題(時事問題など)

いずれも、職業技能振興会が監修する「認知症ケア指導管理士試験(初級)公式テキスト」から出題されます。

合格の基準は総得点の70%が目安ですが、問題の難易度に応じて補正がかかります。

上級認知症ケア指導管理士試験の受験資格と試験内容

上級認知症ケア指導管理士の資格を取得するには、受験資格を満たした状態で試験に合格する必要があります。

上級認知症ケア指導管理士試験の受験資格

初級とは異なり、以下のいずれかの受験資格を満たす必要があります。

  • 初級試験の合格者で、初級資格取得から1年以上経過しており、資格を所持している人(有効期限内に更新している人)
  • 国家資格または国家資格に準ずる資格(医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護支援専門員・介護福祉士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師、きゅう師・柔道整復師・栄養士(管理栄養士含む)・精神保健福祉士)を所持しており、初級試験と上級試験を併願受検する人

国家資格または国家資格に準ずる資格を持っていても、初級資格は必ず取得する必要があります。

併願受検で上級に合格して初級が不合格の場合、上級資格は保留扱いとなり、3年以内に初級資格を取得しないと失効します。

上級認知症ケア指導管理士試験の日程

上級認知症ケア指導管理士の試験は、1年に1回のみ実施されます。

試験日程は、以下のとおりです(カッコ内は2018年度の日程)。

  1. 第1次試験申請(受験料振込:11月20日~5月11日、願書送付:11月20日~5月14日)
  2. 第1次認定試験(2018年7月8日)
  3. 第2次試験申請
  4. 第2次認定試験(2018年12月上旬予定)
  5. 合格発表
  6. 認定証の交付

第1次試験の内容

第1次試験は、5つの選択肢から正解を選ぶマークシート方式(正解が1つとは限らない)で、試験時間は90分、問題数は60問です。

職業技能振興会が監修する「総合ケアシリーズⅠ「認知症ケア論」」、「総合ケアシリーズⅠ「多角的ケア論」」の内容を中心として出題されます。

第2次試験の内容

第1次試験に合格した人のみ、第2次試験に進むことができます。

第2次試験は論述で、試験時間は90分です。

出題傾向は定まっておらず、公式サイトでは、2018年度試験について「認知症ケアを含めたケア全般に関する状況設定問題やケアに関する思考を問う論述問題」を出題予定と記載されています。

認知症ケア指導管理士資格の更新

認知症ケア指導管理士の資格は、2年ごとに更新する必要があります。

認知症ケア専門士の資格と異なり、更新に必要な単位などはありませんが、更新のたびに更新手数料や写真などを収める必要があります。

また、総合ケア推進協議会への入会も勧められます。

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