成年後見登記制度とは?登記事項証明書の申請と手数料は?登記されていない証明は?

成年後見制度では、ある人が制度を利用しているかどうかについて、第三者が知ることができるよう登記の制度を整備しています。

これを成年後見登記制度といいます。

この記事では、成年後見登記制度の趣旨、取扱機関、登記時期、登記事項、発行される証明書(登記事項証明書、登記されていないことの証明書)、証明書の申請方法について解説します。

成年後見登記制度とは

成年後見登記制度とは、成年後見制度に関する内容を東京法務局のコンピューターに登記し、登記事項証明書を発行することによって登記事項を証明する制度です。

登記とは、ある一定の事項を公の帳簿(登記簿)に記載することです。

登記制度は、登記事項を公示することにより、取引関係に入る第三者に権利関係の内容を明らかにして、取引の安全を図るものです。

成年後見登記制度は、成年後見人等の権限などを登記し、その内容を登記事項証明書の発行によって公示することにより、銀行や施設などが成年後見人等と安全に取引できることを目的としています。

成年後見登記を取り扱う機関

成年後見登記を取り扱っているのは、東京法務局民事行政部後見登録課です。

登記事項証明書の発行は、全国の法務局や地方法務局で取り扱っていますが、登記事務は、後見登録課が全国分を一手に取り扱っています。

成年後見登記はいつするか

成年後見登記をするのは、家庭裁判所が後見等開始の審判や任意後見監督人選任の審判をしたとき、公証役場の公証人が任意後見契約の契約書を作成したときです。

後見等開始の審判や任意後見監督人選任選任の審判の場合は家庭裁判所が、任意後見契約の場合は公証人が、東京法務局に登記を嘱託(依頼)します。

登記後、登記事項に変更があった場合は「変更の登記」を申請します。

また、本人の死亡などによって法定後見や任意後見が終了した場合は、「終了の登記」を申請します。

成年後見登記制度で発行される証明書

成年後見登記制度では、登記事項証明書と登記されていないことの証明書が発行されます。

  • 登記事項証明書:登記事項を証明する証明書
  • 登記されていないことの証明書:成年後見登記に登記されていないことを証明する証明書

成年後見登記制度では、登記されていないことの証明書が発行されます。

登記されていないことの証明書では、成年後見登記に登記されていない(成年被後見人、被保佐人、被補助人、任意後見契約の本人とする記録がない)ことが証明されます。

例えば、各種許認可等の申請で、欠格事由の一つとして成年被後見人等が挙げられている場合に登記されていないことの提出することで、欠格事由に当てはまらないことを証明することができます。

登記事項証明書の記載内容(登記事項)

登記事項証明書の記載(成年後見登記制度で登記される)内容は、法定後見と任意後見で異なります。

法定後見の登記事項

  • 後見等開始の審判:①家庭裁判所名、②事件番号、③審判の確定日、④登記年月日、⑤登記番号
  • 成年被後見人等:①氏名、②生年月日、③住所、④本籍
  • 成年後見人等:①氏名、②住所、③選任の審判確定日、④登記年月日、(⑤辞任の審判確定日、⑥解任の審判確定日)
  • 後見監督人等:①氏名、②住所、③選任の審判確定日、④登記年月日、(⑤辞任の審判確定日、⑥解任の審判確定日)

成年後見人が複数選任されており、事務を分担しているまたは共同して権限を行使する場合は、権限行使の定め目録が添付される取扱いとなっています。

また、保佐類型や補助類型で代理権付与の審判がされた場合は代理権目録、同意権付与の審判がされた場合は同意権目録が添付されます。

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任意後見契約の登記事項(任意後見監督人が選任される前)

  • 任意後見契約:①公証人の所属、②公証人の氏名、③証書番号、④作成年月日、⑤登記年月日、⑥登記番号
  • 任意後見契約の本人:①氏名、②生年月日、③住所、④本籍
  • 任意後見受任者:①氏名、②住所、③代理権の範囲

契約の内容に応じた代理権が記載される代理権目録が添付されます。

任意後見契約は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから効力を生じるため、この段階では、任意後見受任者(任意後見人ではない)が代理権を行使することはできません。

あくまで、公証役場で任意後見契約を結んで公正証書を作成したことの登記です。

任意後見契約の登記事項(任意後見監督人が選任された後)

  • 任意後見契約:①公証人の所属、②公証人の氏名、③証書番号、④作成年月日、⑤登記年月日、⑥登記番号
  • 任意後見契約の本人:①氏名、②生年月日、③住所、④本籍
  • 任意後見人:①氏名、②住所、③代理権の範囲
  • 任意後見監督人:①氏名、②住所、③選任の裁判確定日、④登記年月日

家庭裁判所が任意後見監督人を選任した後は、登記事項の任意後見受任者が任意後見人になり、任意後見監督人の欄が加わります。

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登記されていないことの証明書

  • 人定事項:①氏名、②生年月日、③住所、④本籍
  • 証明事項:用途によって異なる(「成年被後見人、被保佐人、被補助人、任意後見契約の本人とする記録がないことを証明する。」など)

登記事項証明書と登記されていないことの証明書の申請

登記事項証明書と登記されていないことの証明書では、申請できる人などが異なります。

登記事項証明書の申請

登記事項証明書の申請方法は、以下のとおりです。

申請できる人

成年後見登記の登記事項は重要な個人情報であり、申請できるのは、成年被後見人等、成年後見人等、成年後見監督人等、4親等内の親族、彼らから委任を受けた代理人などに限られています。

銀行や施設などは申請することができないため、取引や契約の際には成年後見人等が登記事項証明書を申請・取得して提出する必要があります。

申請する場所

東京法務局後見登録課、全国の法務局・地方法務局本局の戸籍課で、申請することができます。

住所地や本籍地に関わらず申請できますが、支部や出張所では取り扱っていないので注意が必要です。

郵送の申請窓口は、東京法務局後見登録課のみです。

申請に必要な書類

  • 登記事項証明書申請用紙(書式と記載例は、法務省の窓口で交付してもらえる他、法務省のサイトからもダウンロードできます。)
  • 本人確認ができる書類(運転免許証、パスポート、健康保険証、マイナンバーカードなど)
  • 成年被後見人との関係が分かる戸籍謄本(親族等が申請する場合)
  • 委任状(申請できる人から委任を受けて申請する場合)
  • 収入印紙(300円/通)

郵送による申請の場合は、封筒に上記の書類等と返信用封筒(切手貼付け、返信先住所記載済のもの)を入れる必要があります。

申請から発行までの時間

窓口申請の場合は、申請から発行まで10~20分程度です。

郵送による申請の場合、郵送してから証明書が手元に届くまで10日程度かかります。

登記されていないことの証明書

登記されていないことの証明書の申請方法は、以下のとおりです。

申請できる人

登記されていないことの証明を受ける人、4親等内の親族、彼らの委任を受けた代理人などに限られています。

取引や契約で必要になる場合は、登記されていないことの証明を求められている人が申請・取得して提出することになります。

申請できる場所

東京法務局後見登録課、全国の法務局・地方法務局本局の戸籍課で、申請することができます。

住所地や本籍地に関わらず申請できますが、支部や出張所では取り扱っていないので注意が必要です。

郵送の申請窓口は、東京法務局後見登録課のみです。

申請に必要な書類

  • 登記事項証明書申請用紙(書式と記載例は、法務省の窓口で交付してもらえる他、法務省のサイトからもダウンロードできます。)
  • 本人確認ができる書類(運転免許証、パスポート、健康保険証、マイナンバーカードなど)
  • 成年被後見人との関係が分かる戸籍謄本(親族等が申請する場合)
  • 委任状(申請できる人から委任を受けて申請する場合)
  • 収入印紙(300円/通)

郵送による申請の場合は、封筒に上記の書類等と返信用封筒(切手貼付け、返信先住所記載済のもの)を入れる必要があります。

申請から発行までの時間

窓口申請の場合は、申請から発行まで10~20分程度です。

郵送による申請の場合、郵送してから証明書が手元に届くまで10日程度かかります。

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