成年後見人の報酬付与申立ての方法は?申立書・事情説明書の書き方、基準、相場は?

成年後見人等は、本人の権利や財産を守るため、療養監護や財産管理の事務を行った報酬を受け取ることができることになっています。

この記事では、成年後見人の報酬の種類・基準・相場と、家庭裁判所に報酬付与の申立てをする方法について解説します。

成年後見人の報酬とは

法律上、成年後見人には、本人の財産の中から報酬が支払うことができることになっています。

保佐人、補助人、後見監督人、臨時保佐人、臨時補助人も同じです。

また、専門職後見人(弁護士、司法書士など)だけでなく、親族後見人も報酬を支払ってもらうことができます。

成年後見人の報酬は、自動的に支払われたり、成年後見人が勝手に引き出したりするのではなく、家庭裁判所に報酬付与の申立てをして、家庭裁判所が決定した金額を本人の財産から引き出します。

成年後見人等の独断で本人の財産から報酬を引き出すと、額に関わらず不正と判断され、成年後見人等を解任されたり、刑事告訴されたりする可能性があります。

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成年後見人の報酬額の相場と基準

専門職後見人の報酬額は、本人(成年被後見人等)の財産や後見事務の内容などの事情に応じて、家庭裁判所が決めた金額が支払われます。

月額〇万円と決められてはいませんが、おおよその相場は2~6万円です。

専門職後見人の報酬額の相場と基準

成年後見人等の報酬には、基本報酬と付加報酬の2種類があります。

具体的な報酬の額は、家庭裁判所が諸般の事情を考慮して決定しますが、裁判所のホームページ上に、目安となる金額や基準が記載されています。

基本報酬

基本報酬とは、通常の後見事務を行った場合に支払われる報酬です。

  • 成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人):月額2万円

ただし、管理する財産の総額が大きくなると事務が難しくなることが多いことを理由に、管理する財産の額が1000万円~5000万円なら月額3~4万円、5000万円を超える場合は月額5~6万円と設定されています。

  • 成年後見監督人等(後見監督人、臨時保佐人、臨時補助人):管理財産額が5000万円未満の場合は月額1~2万円、5000万円以上の場合は月額2~3万円

あくまで目安であり、実際に支払われる報酬額は、後見事務の内容や本人の財産などによって変動します。

また、成年後見人等が複数選任されている場合、事務分担の程度に応じて報酬が按分されることになります。

付加報酬

付加報酬とは、通常の後見事務以外に困難な事務を行った場合に、基本報酬に追加して支払われる報酬です。

付加報酬は、困難な事務を行った場合に限って、基本報酬額の50%を超えない範囲で相当額が付与されるもので、基本報酬のように月額の目安は設定されていません。

付加報酬が付与される後見事務の例は、以下のとおりです。

  • 新しい成年後見人が、本人の財産を横領した前成年後見人を訴え、損賠賠償金を支払わせた
  • 遺産分割協議や調停・審判により、適正な金額を本人に取得させた
  • 本人の不動産を適正価格で売却し、本人の生活費を捻出した
  • 本人が起こした事件について、示談を成立させた
  • 本人が事故に遭った際に、保険金を請求して支払わせた
  • 多数の収益不動産の処分や管理をした

親族後見人の報酬額の相場と基準

親族後見人の報酬額も、専門職後見人の場合と同様、家庭裁判所が諸般の事情を考慮して決定します。

事務の内容にもよりますが、専門職後見人に比べると、報酬額が低く設定される傾向があります。

成年後見人の報酬付与の申立て

成年後見人等の報酬を得るには、家庭裁判所に成年後見人(保佐人、補助人)の報酬付与の申立てを行う必要があります。

報酬付与の申立てをする場所

報酬付与の申立ては、後見等開始の審判をした家庭裁判所に申し立てます。

報酬付与の申立てをする時期

報酬付与の申立てをする時期は、特に定められていませんが、家庭裁判所への後見事務の報告(6ヶ月から1年ごと)と同時に申し立てることが多くなっています。

何年も報酬付与の申立てを行わずにいると、家庭裁判所から促されることもあります。

報酬付与申立書、報酬付与申立事情説明書の書き方

報酬付与の申立ては、申立書と報酬付与申立事情説明書を作成し、それらの記載内容を証明する資料を添付して家庭裁判所に提出します。

申立書と報酬付与申立事情説明書の書式や記載例は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

報酬付与申立書の書き方

申立書には、本人と成年後見人等の人定事項、申立ての趣旨、申立ての理由を記載します。

申立ての趣旨の記載例は、以下のとおりです。

平成〇〇年〇〇月〇〇日から平成〇〇年〇〇月〇〇日までの期間における成年後見人の報酬として、申立人に対して、成年被後見人の財産の中から相当額を与えるとの審判を求めます。

申立ての理由の記載例は、以下のとおりです。

申立人は、平成〇〇年〇〇月〇〇日、〇〇家庭裁判所で、成年被後見人の成年後見人に選任されました。

申立人は、平成〇〇年〇〇月〇〇日から平成〇〇年〇〇月〇〇日までの間、成年後見人としての職務を遂行してきました。

この間の成年後見人としての職務の報酬として、相当額を付与してもらいたいと思い、申し立てました。

成年後見人等として行った具体的な内容を記載することもできます。

ただし、記載欄が小さいため、詳細に記載したい場合は、別紙をつける方法があります。

報酬付与申立事情説明書の書き方

報酬付与申立事情説明書には、本人の財産と収支に加え、付加報酬の希望について記載します。

付加報酬を求める場合は、当てはまる理由の項目にチェックを入れ、それを証明する資料を添付します。

具体的な内容を記載したい場合は、別紙をつけることもできます。

申立書に添付する資料等

  • 申立人の住民票または戸籍附票
  • 本人の住民票または戸籍附票
  • 後見等事務報告書
  • 財産目録
  • 収支目録
  • 財産目録と収支目録の内容を証明する資料(預貯金通帳、領収書、契約書など)
  • 収入印紙800円分(報酬付与侵犯事件を申し立てるための費用)
  • 郵便切手82円(審判書を申立人へ郵送するため)

住民票や戸籍附票は、記載内容に変化がなければ必要ありません。

後見等事務報告書、財産目録、収支目録は、後見監督などで申立ての3ヶ月以内に家庭裁判所へ提出しており、変更がない場合は、新たに提出する必要はありません。

申立て後、家庭裁判所から追加で資料提出を求められたり、直接事情を聞かれたりすることもあります。

報酬額の決め方

成年後見人等の報酬額は、家庭裁判所が、申立書と報酬付与申立事情説明書、それらの記載内容を証明する資料をチェックし、必要に応じて申立人等から事情を聞いた上で決定します。

そのため、申立書や報酬付与申立事情説明書に何を記載し、それをどのような資料で証明するかが重要になります。

本人のために困難な後見事務をこなしたとしても、申立書等に記載しなかったり、資料を残していなかったりすると付加報酬は許可されません。

また、すでに書いたとおり、親族後見人よりも専門職後見人の方に高い報酬が支払われる傾向があります。

これは、第三者である専門職後見人が「仕事として」後見事務をこなしていることに加え、困難な事務が必要なケースで選任されることが多いためです。

成年後見人の報酬付与の審判

家庭裁判所は、成年後見人への報酬付与が相当だと判断した場合、「平成〇〇年〇〇月〇〇日から平成〇〇年〇〇月〇〇日の間の報酬として、〇〇円を付与する。」という内容の審判をします。

審判後、審判書が申立人に郵送されるので、そこに記載された金額を本人の財産から引き出します。

本人に財産がない場合

成年後見人等の報酬は、家庭裁判所が決めた金額を本人の財産から引き出す方法により得るのが基本です。

そのため、本人に財産がない場合は、報酬を受け取ることができません。

後見等の開始時には専門職後見人に報酬を支払うだけの財産があったけれど、その後、赤字が続いて報酬を支払うことができなくなった場合、専門職後見人が辞任して親族にバトンタッチすることがあります。

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