イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの効果と副作用、貼る場所は?

イクセロンパッチとリバスタッチパッチは、日本で認可されて使用することができる認知症の薬の1つです。

「パッチ」タイプの薬ですが、どのような効果や副作用があるのでしょうか。

この記事では、認知症の薬一覧、イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの概要、薬価、用法用量、効果、副作用について紹介します。

認知症の薬一覧

まず、日本で認可されている認知症の薬を確認しておきましょう。

認知症の薬

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とは

アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、脳内の神経伝達物質の一つ「アセチルコリン」が減少することが分かっています。

人の脳は、脳内の神経伝達物質を介して記憶や学習などを行っていますが、その中で重要な役割を果たすのが神経伝達物質の一つ「アセチルコリン」です。

アセチルコリンの働きは、以下のとおりです。

  1. 神経細胞から放出されたアセチルコリンが受容体と結合し、情報の通り道を開通させる
  2. 情報伝達が行われる
  3. アセチルコリンエステラーゼ(AchE)とブチルコリンエステラーゼ(BchE)という酵素がアセチルコリンを分解する

情報の通り道を開通させるという大きな役目を果たしたアセチルコリンは分解されて活性が阻害され、その結果、情報伝達機能が低下します。

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することでアセチルコリン減少を抑え、情報伝達を改善させる働きがあります。

つまり、通常は分解されるアセチルコリンを分解させないようにし、情報伝達機能の低下を防ぐのです。

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチも、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の1つです。

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イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ(リバスチグミン)とは

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチとは、アルツハイマー型認知症の治療(症状の進行抑制)に使用される認知症の薬です。

いずれも、ノバルティスファーマ社が創製したパッチ型のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬「リバスチグミン(Rivastigmine)」の製品名です。

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの製品

日本では製薬会社2社からパッチが販売されています。

商品名 製薬会社
イクセロンパッチ ノバルティスファーマ株式会社
リバスタッチパッチ 小野薬品

製品名は異なりますが、有効成分はまったく同じです。

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの剤型

パッチ(経皮吸収)型です。

4.5mg、9mg、13.5mg、18mgの4種類あり、成分量が多くなるほどパッチのサイズも大きくなります。

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの薬価

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの薬価を確認しておきましょう。

  イクセロンパッチ リバスタッチパッチ
4.5mg 329.8円(33.0円円) 327.7円(32.8円)
9mg 371.2円(37.1円) 368.5円(36.9円)
13.5mg 398.2円(39.8円) 395.6円(39.6円)
18mg 417.2円(41.7円) 415.1円(41.5円)

※カッコ内は患者が負担する薬価(1割負担で小数点第2位を四捨五入した場合)

【薬価の具体例:イクセロンパッチ】

  • 4.5mgから開始し、4週間ごとに4.5mgずつ増量した場合:33.0×28日(4週間)+37.1×28日+39.8×28+41.7×28=4244.8円
  • 18mgを1ヶ月(30日)分処方された場合:41.7×30=1251円

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの効果

イクセロンパッチとリバスタッチパッチは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の一つで、アセチルコリンの分解酵素を阻害して脳内のアセチルコリン量を増加させ、情報伝達機能の低下を抑える働きがあります。

つまり、記憶障害、時間・場所・人などの見当識障害、判断力の低下などアルツハイマー型認知症の症状の進行を遅らせる効果があるのです。

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの特徴は、アセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼとブチルコリンエステラーゼの両方を阻害できることです。

パッチが作用する流れをまとめておきます。

  1. イクセロンパッチ・リバスタッチパッチを貼る
  2. アセチルコリンの分解酵素(アセチルコリンエステラーゼとブチルコリンエステラーゼ)の働きが抑制される
  3. 脳内のアセチルコリン量が増加する(減少しない)
  4. 情報伝達機能の低下が抑制される

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチのメリット

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチのメリットを見ていきましょう。

認知症の薬で唯一の貼り薬であること

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは、認知症の薬の中で唯一の貼り薬です。

貼り薬であることから、有効成分が皮膚から持続的に吸収され、排泄されるのが早いという特徴があります。

貼り過ぎたり副作用が出たりした場合、薬を剥がせばそれ以上成分が吸収されないこともメリットです。

患者の意欲を改善させる

日本で認可されている認知症の薬の中で唯一、患者の意欲を改善させる効果があることもメリットです。

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは、アセチルコリン分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼとブチルコリンエステラーゼの両方を阻害できる薬ですが、後者が阻害されることで患者の意欲(前向きさ)が改善することが分かっています。

また、意欲の改善に伴って言葉数も増える傾向があります。

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの用法用量

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは、「パッチ」タイプ、つまり「貼る」タイプの認知症の薬です。

4.5mg、9mg、13.5mg、18mgの4種類のパッチがあります。

最初から大きなサイズのパッチを使用すると、脳内の神経伝達物質の変化に身体が適応できず副作用が強く出る可能性があるため、最初は小さいサイズのパッチを貼り、徐々に大きなサイズに変えていきます。

従前は、1日に1回、4.5mgのパッチを貼り、4週間ごとに9mg、13.5mg、18mgと大きなサイズのパッチに変更していました。

しかし、有効容量に増量するまでに時間がかかることは、早期の症状進行抑制が重要なアルツハイマー型認知症の治療法として大きな課題であると指摘されていました。

その後、増量期間を短縮しても副作用の出現率などに影響がないことが明らかにされたことを受け、2015年8月以降は、患者の状態によっては、9mgのパッチを使用開始して4週間後に18mgのパッチに変更できるようになっています。

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの貼り方

パッチの貼り方は、以下のとおりです。

貼る場所 背中、上腕、胸のうち皮膚異常がない部位
貼る枚数

1回につき1枚のみ

※細かく切って使用することも不可

貼り替え

24時間ごと

※古いパッチを剥がしてから新しいパッチを貼る

※古いパッチとは異なる部位に貼る

剥がれた場合 新しいパッチに貼り替える
貼り忘れた場合

気づいた時点で貼る

※忘れた回数分を一気に使用しないこと

使用中止 医師の判断に従うこと

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの副作用

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチの主な副作用は、皮膚症状です。

パッチを貼った部位が赤くなって痒みが生じたり、赤く腫れあがったりすることがあります。

副作用によりパッチの使用を中止する割合は約30%と高いことが課題ですが、近日中に副作用を抑えた製品が発売される予定です。

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