社会福祉協議会のリバースモーゲージとは?条件や認知症高齢者が利用する方法は?

高齢者の中には、自宅は所有しているものの、収入が少なく日々の生活費が不足している人が一定数おり、そうした人が老後資金を確保する方法としてリバースモーゲージが注目されるようになっています。

リバースモーゲージは、自宅を担保にして金銭を借り入れる制度で、民間の金融機関が行うものと社会福祉協議会(国)が行うものの2種類があります。

いずれもリバースモーゲージという名称ですが、その目的、役割、利用条件などが異なります。

認知症高齢者については、社会福祉協議会(国)が運営するリバースモーゲージを利用することが多くなっています。

この記事では、社会福祉協議会(国)が運営するリバースモーゲージの概要、金融機関のリバースモーゲージとの違い、認知症高齢者がリバースモーゲージを利用する方法について解説します。

社会福祉講義会(国)が運営するリバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、自宅を所有する高齢者が、自宅を担保にして老後の生活費などのために金銭を借り入れる制度です。

持ち家と土地はあるけれど日々の生活を送るための収入が少ない場合に、不動産を担保にして生活費を借り入れることができます。

返済時期が借り受けた人の死亡時で、自宅に住み続けながら借り入れた金銭を生活に充てることができるため、老後資金に不安がある高齢者にとってはメリットがある制度です。

社会福祉協議会(国)が運営するリバースモーゲージとは、厚生労働省が規定する生活福祉資金貸付制度に基づく貸付資金の一つ「不動産担保型生活資金」のことです。

社会福祉協議会に申し込む場合、リバースモーゲージではなく不動産担保型生活資金と言わないと伝わらないことがあるので、注意してください。

管轄と運営主体

管轄は厚生労働省ですが、相談や申請の窓口は社会福祉協議会です。

社会福祉協議会とは、社会福祉法に基づいて全国各地に設置されている、地域における社会福祉の推進・向上を目的とする非営利の民間団体です。

社会福祉協議会の目的について、社会福祉法上第109条では、以下のとおり規定されています。

  • 社会福祉を目的とする事業の企画および実施
  • 社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助
  • 社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整および助成
  • 前3号に掲げる事業のほか、社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業

社会福祉協議会(国)が運営するリバースモーゲージの利用条件

生活福祉資金貸付制度(リバースモーゲージ)は、所得が少ない高齢者の生活を支援する目的で整備された国の制度です。

その一つである「不動産担保型生活資金」は、不動産を担保として生活資金を貸し付けるもので、不動産担保型生活資金と、要保護世帯向け不動産担保型生活資金に分類されます。

  不動産担保型生活資金 要保護世帯向け不動産担保型生活資金
制度利用できる年齢(原則) 65歳以上 65歳以上
所得の条件 低所得の高齢者世帯 生活保護受給中の高齢者世帯
担保の対象となる不動産 居住用の土地建物(一軒家) 居住用の土地建物(一軒家、マンション)
融資限度額 不動産評価額の約70% 不動産評価額の約50%
貸付期間 貸付限度額に達するまで 貸付限度額に達するまで
貸付限度額 30万円以下/月 生活扶助基準額の1.5倍/月
保証人の要否と条件 必要(推定相続人の1人) 必要なし
推定相続人の同意の要否 必要 必要
金利 年3%または長期プライムレートのうち低い利率 年3%または長期プライムレートのうち低い利率

金融機関のリバースモーゲージとの違い

社会福祉協議会(国)が運営するリバースモーゲージと金融機関の運営するリバースモーゲージでは、以下の違いがあります。

  • 目的の違い
  • 利用条件の違い
  • 金利の違い
  • 貸付金額/月の限度額の有無
  • 保証人の要否
  • 対象区域の違い

目的の違い

金融機関のリバースモーゲージは、生活支援とともに老後の生活にゆとりをもたらすことを目的としています。

一方で、社会福祉協議会(国)のリバースモーゲージは、社会福祉制度の一つであり、より生活支援を重視しています。

利用条件の違い

利用条件では、所得要件と利用できる年齢に違いがあります。

社会福祉協議会(国)の運営するリバースモーゲージは、低所得の高齢者向けの制度であり、一定以上の所得がある高齢者は利用することができません。

一方で、金融機関の運営するリバースモーゲージでは、一定以上の所得があることが要件であることが多くなっています。

また、社会福祉協議会(国)のリバースモーゲージを利用できるが原則65歳以上であるのに対し、金融機関では55歳くらいから利用できる契約が整備されています(金融機関によります)。

金利の違い

既に開設したとおり、社会福祉協議会(国)のリバースモーゲージの金利は、年3%または長期プライムレートのうち低い利率で、上限が3%です。

一方で金融機関の金利は、金融機関によって金利が異なりますが、社会福祉協議会(国)の金利よりも高く設定されていることが多いものです。

貸付金額/月の限度額の有無

社会福祉協議会(国)のリバースモーゲージでは、毎月の貸付限度額が30万円以下に設定されています。

生活支援を重視した制度であることが顕著に表れています。

一方で金融機関のリバースモーゲージでは貸付限度額が設定されていないことが多く、月々決まった金額の貸し付けを受けることもできますし、一括で借り入れることもできます。

保証人の要否

社会福祉協議会(国)のリバースモーゲージのうち不動産担保型生活資金については、推定相続人の1人を保証人とする必要があります。

一方で、金融機関のリバースモーゲージは、原則として保証人は必要ありません。

ただし、推定相続人の同意を契約締結の条件としている金融機関は多くなっています。

対象区域の違い

社会福祉協議会(国)のリバースモーゲージは、国が運営しているため、対象区域は日本全国です。

一方で金融機関の場合、対象区域は営業区域に限られており、対象区域外では利用することができません。

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不動産担保型生活資金(リバースモーゲージ)の貸付手続

不動産担保型生活資金の貸付手続は、以下の順序で行います。

  1. 本人が市町村の社会福祉協議会に不動産担保型生活資金の貸付けを申込み
  2. 市町村の社会福祉協議会が都道府県の社会福祉協議会へ申込みがあったことを知らせ、書類等を送付
  3. 都道府県の社会福祉協議会が審査を行い、貸付けを決定
  4. 本人が都道府県の社会福祉協議会へ信用書を提出
  5. 都道府県の社会福祉協議会が本人へ送金

まずは、市町村の社会福祉協議会に相談し、制度利用の条件や必要書類などを確認しておきましょう。

認知症高齢者がリバースモーゲージを利用する方法

リバースモーゲージ制度を利用するには、社会福祉協議会に不動産担保型生活資金(リバースモーゲージ)の貸付けを申し込む必要があります。

しかし、認知症高齢者は、認知症の影響で判断能力が低下しているため、自力で申し込みを行うことが困難なことがあります。

そこで、成年後見制度を利用して家庭裁判所に後見人を選任してもらい、後見人が認知症高齢者のために不動産担保型生活資金の申込を行うことになります。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症など精神上の障害によって判断能力が低下した人について、後見人を選任することにより、その人の権利や財産を保護する制度です。

成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。

また、法定後見制度は後見、保佐、補助の3類型に分類されており、本人の判断能力によって利用できる制度が異なります。

不動産担保型生活資金の申込みのために成年後見制度を利用する場合、法定後見制度によって家庭裁判所に後見人を選任してもらうのが一般的です。

家庭裁判所に後見開始の審判の申立てを行って成年後見人を選任させ、成年後見人が認知症高齢者の代わりに申し込みを行います。

ただし、後見が開始した認知症高齢者について不動産担保型生活資金を利用するか否かについては、本人の年齢、財産や収支、推定相続人の同意の有無などを考慮し、成年後見人と家庭裁判所が協議して決めることになります。

現在のところ、後見が開始した認知症高齢者について、社会福祉協議会(国)が運営するリバースモーゲージが利用されるケースは多くありませんが、今後は増加していくと予想されています。

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