成年後見制度の質問(Q&A)~審判(後見、保佐、補助)、審判書、即時抗告~

成年後見制度でよくある質問について、分かりやすい解説と関連記事の案内をしています。

この記事で解説している質問は、以下のとおりです。

  • 後見開始の審判を申し立ててから審判までの期間はどれくらいですか?
  • 後見開始の審判ではどのようなことが決まるのですか?
  • 後見開始の審判書にはどのような内容が記載されますか?
  • 審判書は誰に送付されますか?
  • 後見開始の審判にかかる費用は誰が負担しますか?
  • 後見開始の審判の申立てを弁護士や司法書士などに依頼した費用は本人負担にできますか?
  • 本人の判断能力について審判結果に納得がいかない場合はどうすればいいですか?
  • 即時抗告の申立て(後見開始の審判に対する不服申立て)はどのようにすればいいですか?
  • 家庭裁判所が候補者以外を成年後見人に選任したことについて即時抗告できますか?
  • 申立人が後見開始の審判(認容)に即時抗告できますか?
  • 本人の親族から後見開始の審判に即時抗告できますか?

後見開始の審判を申し立ててから審判までの期間はどのくらいですか?

通常、約1~2ヶ月です。

以前は、申立てから3ヶ月を超えても審判が出ないケースが珍しくありませんでしたが、徐々に短い期間で審判が出るようになってきています。

ただし、申立て時に提出した書面や資料の不備・不足、診断書の内容が不十分、鑑定を引き受ける医師が見当たらない、鑑定手続きの実施、申し立てた類型と鑑定結果が一致しない(趣旨変更)、親族間の対立が激しい、家庭裁判所の審理に協力しないなどの理由により、審理期間が長引くこともあります。

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後見開始の審判ではどのようなことが決まるのですか?

後見開始の審判で決まるのは、以下の内容です。

  • 本人に後見を開始すること
  • 本人の成年後見人を誰にするか

申立て時に手続き費用(申立手数料、後見登記手数料、鑑定費用、送達・送付費用)の本人負担を希望していれば、それについても審判で決めてもらうことができます。

後見開始の審判書にはどのような内容が記載されますか?

後見開始の審判書に記載される事項は、以下のとおりです。

  • 事件番号・事件名
  • 申立人の住所・氏名
  • 本人の本籍・住所・氏名・生年月日
  • 主文「①本人について後見を開始する、②本人の成年後見人として次の者を選任する」
  • 成年後見人の住所・氏名(専門職の場合は事務所名)

なお、申立て時に、手続費用(申立手数料、後見登記手数料、鑑定費用、送達・送付費用)について本人の財産から支出したいと希望していれば、手続費用を本人負担とするという文言が付記されます。

審判書は誰に送付されますか?

申立人と成年後見人に対しては、家庭裁判所から郵送で告知されます。

また、本人に対しても通知されます。

一方で、申立人、成年後見人、本人以外の人には審判書は送られません。

例えば、同意書を提出したり親族照会を受けたりした親族、本人の入所施設の関係者、本人と利害関係のある人などには審判書が送付されず、申立人などから審判の結果を聞くことになります。

後見開始の審判にかかる費用は誰が負担しますか?

後見開始の審判にかかる費用のうち、以下の費用については本人の負担とすることができます。

  • 申立手数料
  • 後見登記手数料
  • 鑑定費用
  • 送達・送付費用

申立て時に、本人の財産からの支出を希望する旨を申立書に記載しておくと、これらの費用を本人負担とする審判がなされます。

申立書に記載し忘れた場合は、受付窓口や調査面接などにおいて伝えることで対応してもらうことができます。

一方で、以下の費用については、原則、申立人の自己負担となります。

  • 申立て時に提出する資料の取得にかかった費用(戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書、預貯金通帳・領収書などのコピー代金、不動産登記簿謄本、不動産評価額証明書など)
  • 診断書作成費用
  • 申立てを弁護士や司法書士に依頼した場合の費用
  • 裁判所に出頭するための交通費
  • その他雑費

ただし、申立てに至る事情や申立人の経済状況、本人との関係などによっては本人負担が認められることもあります。

後見開始の審判の申立てを弁護士や司法書士などに依頼した費用は本人負担にできますか?

原則、申立人負担です。

後見開始の申し立てについて弁護士などに依頼するか否かは申立人の判断であり、申立人が時間や手間を省くために依頼した弁護士などの費用を本人に負担させることは適当ではありません。

ただし、申立人に経済的に余裕がない場合や、施設などの勧めでやむを得ず申立人になった場合などは、本人負担が認められることもあります。

審判の結果(本人に後見が開始されたこと)に納得がいかない場合はどうすればいいですか?

後見開始の審判については、即時抗告という手続で不服を申し立てることができます。

即時抗告とは、家庭裁判所がした審判に対して不服がある場合に、審判から2週間以内に不服の申し立てをすることにより、高等裁判所で審理をさせる手続です。

即時抗告の方法については、以下の質問・回答を参考にしてください。

即時抗告の申立て(後見開始の審判に対する不服申立て)はどのようにすればいいですか?

即時抗告の申立ては、抗告状や必要書類等を提出することにより行います。

即時抗告も申立権者

即時抗告ができるのは、民法7条に規定された人です。

具体的には、本人、本人の配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官が即時抗告を申し立てることができます。

即時抗告の申立て先

後見開始の審判をした家庭裁判所です。

審理を行うのは審判をした家庭裁判所を管轄する高等裁判所ですが、申立ては、審判をした家庭裁判所に抗告状を提出することで行います。

即時抗告の申立てに必要な書類・費用

  • 抗告状
  • 即時抗告の理由を記載した書面
  • 収入印紙1200円分
  • 郵便切手

抗告状の記載例は裁判所ウェブサイトに掲載されています。

家庭裁判所が候補者以外を成年後見人に選任したことについて即時抗告できますか?

できません。

成年後見人に誰を選任するかについては、家庭裁判所の広範は裁量に委ねられているとされています。

申立て時には、成年後見人の候補者を挙げることになっています。

しかし、家庭裁判所は候補者を選任する必要はなく、審理の結果、本人の財産や権利の保護のために適切だと判断した人を選任することができます。

また、家庭裁判所が候補者以外を選任したことについて、申立人などが不服を申し立てることはできません。

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申立人が後見開始の審判(認容)に即時抗告できますか?

できません。

即時抗告ができるのは、民法7条に規定された人(本人、本人の配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官)で、申立人は含まれていません。

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本人の親族から後見開始の審判に即時抗告できますか?

本人の4親等内の親族であれば、即時抗告を申し立てることができます。

4親等内の親族とは、子、孫、曾孫、曾孫の子、親、祖父母、曾祖父母、曾祖父母の父母、兄弟姉妹、おじ、おば、甥、姪、いとこ、配偶者の親、配偶者の祖父母、配偶者の曾祖父母、配偶者の子、配偶者の孫、配偶者の曾孫、配偶者の兄弟姉妹、配偶者の甥姪、配偶者のおじおばなどです。

即時抗告は、審判から2週間以内にする必要がありますが、審判結果が送付・通知されるのは申立人と本人のみです。

そのため、即時抗告の可能性がある場合は、こまめに申立人に連絡して審判が出た時点で結果を教えてもらう必要があります。

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