成年後見制度の質問(Q&A)~後見制度支援信託、市民後見人~

成年後見制度でよくある質問について、分かりやすい解説と関連記事の案内をしています。

この記事で解説している質問は、以下のとおりです。

  • 後見制度支援信託とはどのような制度ですか?
  • 後見制度支援信託のメリットとデメリットは何ですか?
  • 後見制度支援信託を利用するまでの手続きの流れはどのようになるのですか?
  • 信託契約はどのように締結するのですか?
  • 後見制度支援信託が利用できないのはどのような場合ですか?
  • 保佐類型や補助類型でも利用できますか?
  • 市民後見人とはどのような制度ですか?
  • どうして市民後見人が必要なのですか?
  • 市民後見人が選任された実績はあるのですか?
  • 市民後見人の仕事はどのようなものですか?

後見制度支援信託とはどのような制度ですか?

後見制度支援信託とは、後見が開始された本人の財産のうち、日常生活を送るために必要十分な金銭を預貯金などで管理し、日常生活では使う予定のない金銭を信託銀行などに信託する制度です。

信託契約を締結した後は、信託財産の払い戻しや信託契約の解約に家庭裁判所が発行する指示書が必要になり、成年後見人が勝手に操作できないことから、成年後見人による不正トラブルを予防する制度として期待されています。

後見制度支援信託の大まかな仕組みは、以下の図のとおりです。

後見制度支援信託 イメージ

一定以上の財産額のある本人については、家庭裁判所が後見制度支援信託の利用の適否を検討、判断します。

「一定以上の財産額」については、各家庭裁判所が、管轄地域の状況などを踏まえて1000万円~1500万円前後に設定しています。

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後見制度支援信託とは?デメリットと報酬は?信託できる金融機関は?

後見制度支援信託のメリットとデメリットは何ですか?

後見制度支援信託のメリットとしては、本人の財産を安全に管理できることが挙げられます。

後見制度支援信託では、本人の財産を信託銀行が管理することに加え、信託財産の払い戻しや信託契約の解約など重要な手続には必ず家庭裁判所のチェックが入る仕組みができており、成年後見人による不正を予防する効果が期待されています。

また、一般的な投資信託と異なり元本が保証されていることや、預金保険制度(金融機関破たん後の預金に保護するための制度)の保護対象であることもメリットです。

一方のデメリットは、信託できるのは金銭のみであること、報酬が発生すること、手続に時間と手間がかかることなどが挙げられます。

また、後見制度支援信託を利用できるのは後見類型のみで、保佐類型、補助類型、任意後見では利用できません。

後見制度支援信託を利用するまでの手続きの流れはどのようになるのですか?

後見制度支援信託を利用するまでの手続きの流れは、以下の図のとおりです。

後見制度支援信託 手続 流れ

後見制度支援信託の手続きを進めるのは、家庭裁判所が、審判で本人に後見を開始して成年後見人を選任した後です。

しかし、家庭裁判所は、申立て時に提出された資料、申立人や候補者の陳述、本人の財産や収支の状況などを踏まえ、審判前から後見制度支援信託の利用を検討しています。

そして、制度利用が考えられるケースでは専門職後見人を選任し、制度利用の適否を検討させるとともに、制度利用が相当な場合は信託銀行等と信託契約を締結するよう指示を出します。

信託契約はどのように締結するのですか?

家庭裁判所は、後見制度支援信託の利用が考えられるケースについては、審判で本人に後見を開始して専門職後見人を選任し、専門職後見人に対して後見制度支援信託を利用することが適切かどうかの検討を指示します。

専門職後見人は、制度利用が相当と判断した場合、信託する信託銀行など、信託する財産の額、定期交付金の額などを決めた上で家庭裁判所に書面で報告します。

その上で、家庭裁判所が発行した指示書に基づいて、信託銀行等と信託契約を締結します。

信託契約締結後は、金銭財産の大半は信託されて、成年後見人の手元には本人が日常生活で必要になる金銭のみが残り、専門職後見人が後見事務を行う必要性が乏しくなるため、専門職後見人は辞任し、親族後見人に本人の財産が引き継がれます。

後見制度支援信託が利用できないのはどのような場合ですか?

後見制度支援信託の利用が難しい主な事情は、以下のとおりです。

  • 親族の間の紛争が激しい
  • 金銭財産が少ない
  • 制度利用によって、遺言など本人の意思が尊重されなくなる
  • 制度利用によって、日常生活上の支出に必要な金銭が不足する

なお、後見制度支援信託の利用を始めた後に親族間紛争が表面化したり、遺言が発見されたりしたとしても、成年後見人や家庭裁判所が責任を負うことはありません。

保佐類型や補助類型でも利用できますか?

利用できません。

後見制度支援信託が利用できるのは、法定後見制度の後見類型と未成年後見人選任事件のみです。

市民後見人とはどのような制度ですか?

市民後見人とは、親族以外の一般市民が成年後見人になる制度です。

市民後見人は、本人の親族でもなく、成年後見制度などに関する専門知識を有する弁護士などの専門職でもなく、本人と同じ地域に住んでいる一般市民が、家庭裁判所に成年後見人として選任されます。

市区町村等が実施する市民後見人養成講座を受講するなど、成年後見人として活動するための知識や技術、姿勢を学習し、成年後見人のなり手がいない本人の成年後見人として、市民感覚を生かしたきめ細やかな後見活動を行うことが期待されています。

例えば、身寄りがなく、専門職後見人を選任するだけの財産もない場合などに、市民後見陰が選任されることが想定されています。

また、個人の後見活動にとどまらず、地域における相互支援活動にも主体的に参画していくことも市民後見人に求められている役割です。

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市民後見人とは?なるには養成講座や資格が必要?役割と報酬は?

どうして市民後見人が必要なのですか?

市民後見人には、以下の3つの内容が期待されています。

  • 後見事務の新たな担い手となること
  • きめ細かい後見活動を行うこと
  • 身寄りがなく財産もない人の後見人となること

高齢化に伴って認知症高齢者は増え続け、成年後見制度の利用者数も右肩上がりになっています。

身寄りのない一人暮らしの高齢者、親族と疎遠な高齢者、親族から支援・援助を拒否された高齢者が増加しており、介護サービス利用契約の締結などを目的とした後見制度利用が今よりも増えると考えられています。

しかし、親族後見人による本人財産の横領などの不正トラブルが相次いだことで親族が後見人に選任されにくくなったため、親族がいても専門職後見人が選任されるケースが増え、将来的には専門職後見人が不足すると予想されています。

そのため、一般市民が後見活動を行う市民後見人に注目が集まっています。

また、市民後見人は、本人と同じ地域に住んでいる一般市民から選任されることが想定されています。

つまり、地域の社会資源を有効活用した後見活動が可能になり、同じ住民として信頼関係に基づくきめ細かい身上監護ができると考えられています。

加えて、仕事として後見事務をこなす専門職後見人の場合、財産のない人の後見人に就任することを避ける傾向があるところ、そうした成年後見人のなり手がいない人の成年後見人として活躍することも期待されています。

市民後見人が選任された実績はあるのですか?

全国の家庭裁判所で選任された市民後見人の数は、2011年度は92人、2012年は118人、2013年は167人、2014年は213人、2015年は224人です。

徐々に増えてきてはいますが、成年後見人全体に占める市民後見人の割合は約4%に留まっています。

市民後見人の仕事はどのようなものですか?

市民後見人は、親族後見人や専門職後見人と同じく家庭裁判所に選任された成年後見人であり、その仕事は本人の身上監護と財産管理です。

財産管理とは、本人の現金、預貯金、不動産などの管理、収入・支出の管理、確定申告や納税など税金の処理など本人の財産全般を管理することです。

身上監護とは、本人の生活や状態に配慮しながら、医療、介護、施設入所に関する契約などの法律行為を行うことです。

あくまで身上監護に関する法律行為を行うことが仕事であり、本人の身の回りの世話、介護、家事を自らこなすのではありません。

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