成年後見制度の質問(Q&A)~成年後見人、保佐人、補助人の報酬、後見事務費用~

成年後見制度でよくある質問について、分かりやすい解説と関連記事の案内をしています。

この記事で解説している質問は、以下のとおりです。

  • 成年後見人は報酬をもらえますか?
  • 成年後見人の報酬にはどのような種類がありますか?
  • 成年後見人の報酬に基準や相場はありますか?
  • 成年後見人の報酬を請求するにはどうすればいいですか?
  • 成年後見人の報酬はどのように決まりますか?
  • 親族でも報酬をもらえますか?
  • 成年後見監督人も報酬がもらえますか?
  • 後見事務にかかった費用は本人の財産から引き出すことはできますか?

成年後見人は報酬をもらえますか?

法律上、成年後見人は、後見事務の内容に応じた報酬を本人の財産の中から受け取ることができると定められています。

保佐人や補助人も同じです。

ただし、成年後見人の報酬は、定期的に支払われれるものではなく、本人の財産から勝手に引き出して良いものでもありません。

家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立て、家庭裁判所が報酬として決定した金額についてのみ、本人の財産から引き出すことができます。

成年後見人が勝手に報酬金額を決めて本人の財産から引き出しを行うと、金額に関わらず不正と判断され、成年後見人を解任された上、損害賠償請求や刑事訴追を受ける可能性があります。

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成年後見人の報酬にはどのような種類がありますか?

成年後見人に支払われる報酬には、基本報酬と付加報酬の2種類があります。

基本報酬

基本報酬とは、成年後見人として一般的な後見事務を適切に行ったことに対する報酬です。

一般的な後見事務とは、成年後見人が本人の状態や置かれた状況に応じて行う財産管理や身上監護に関する事務です。

例えば、預貯金通帳や有価証券などの適切な管理、収支の整理、諸経費の支払い、医療・介護・施設入所契約などが該当します。

付加報酬

付加報酬とは、専門的な知識、時間、手間などを要する後見事務を行った場合に、基本報酬に加算して支払われる報酬です。

付加報酬が認められる後見事務としては、以下のような事務が挙げられます。

  • 本人の財産を横領した前成年後見人に対して損害賠償請求を行い、損賠賠償金を支払わせた
  • 遺産分割協議・調停・審判で適正な金額を本人に取得させた
  • 本人の不動産を適正価格で売却した(居住用不動産の処分など)
  • 本人が起こした事件の示談を成立させた
  • 本人が事故に遭った際に、保険金を請求して支払わせた
  • 多数の収益不動産の処分や管理を適正に行った

成年後見人の報酬に基準や相場はありますか?

成年後見人の報酬は、実際に行った後見事務の内容に応じて、自己申告(家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立てること)によって後払い(家庭裁判所が決定した金額を本人の財産から引き出す)で支払われるため、一律いくらと決まっているわけではできません。

ただし、裁判所ウェブサイトには、報酬の目安となる金額や基準が記載されています。

基本報酬

成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)の基本報酬は、月額2万円です。

ただし、財産総額が増えると管理の負担も大きくなる傾向があることから、財産総額が1000万円~5000万円の場合は月額3~4万円、5000万円超の場合は月額5~6万円と設定されています。

あくまで目安となる金額で、実際に支払われる報酬額については、後見事務の内容や本人の財産・収支などによって家庭裁判所が個別に決定しています。

付加報酬

付加報酬は、専門的な知識・時間・手間を要する困難な事務を行った場合に限り、基本報酬額の50%を超えない範囲で相当額が付与されることになっています。

そのため、基本報酬のように月額の目安は示されていません。

成年後見人の報酬を請求するにはどうすればいいですか?

家庭裁判所に成年後見人の報酬付与の審判を申し立てます。

申立権者、申立てをする場所、申立てをする時期

  • 申立権者:成年後見人など
  • 申立てをする場所:後見等開始の審判をした家庭裁判所
  • 申立てをする時期:規定なし(後見事務を報告する際に同時に申立てをするケースが多い)

申立てに必要な書類・資料・費用

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 申立人の住民票または戸籍附票
  • 本人の住民票または戸籍附票
  • 後見等事務報告書
  • 財産目録
  • 収支目録
  • 財産目録と収支目録の内容を証明する資料(預貯金通帳、領収書、契約書など)
  • 収入印紙800円分(報酬付与侵犯事件を申し立てるための費用)
  • 郵便切手82円(審判書を申立人へ郵送するため)

 

申立書と申立事情説明書の書式や記載例は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

申立書には、本人と成年後見人等の人定事項、申立ての趣旨、申立ての理由を記載します。

また、申立事情説明書には、本人の財産と収支に加えて付加報酬の希望について記載します。

付加報酬を求める場合は、当てはまる理由の項目にチェックを入れるとともに、根拠となる資料を添付します。

なお、後見監督の資料提出を同時に行う場合は、後見等事務報告書、財産目録、収支目録は1通で足ります。

また、直近3ヶ月以内に後見等事務報告書、財産目録、収支目録を提出していて変更がない場合も、新たに提出する必要はありません。

申立て後、家庭裁判所から追加で資料提出を求められたり、直接事情を聞かれたりすることもあります。

成年後見人の報酬はどのように決まりますか?

家庭裁判所が、成年後見人が報酬付与の審判申立て時に提出した資料(申立書、申立事情説明書、各種資料資料など)を精査し、必要に応じて申立人等から事情を聞いた上で、後見事務の内容に応じた金額を決定します。

つまり、申立書や申立事情説明書の記載内容や、記載を証明する資料の提出が報酬金額を決める上で重要な意味を持ちます。

例えば、困難な後見事務を行っても、資料を紛失または処分してしまった場合、付加報酬の請求が認められないことがあります。

親族でも報酬をもらえますか?

もらえます。

親族後見人であっても、報酬付与の審判を申し立てることにより、家庭裁判所が決定した金額を報酬として本人の財産の中から引き出すことができます。

ただし、専門職後見人の方が親族後見人よりも高い報酬金額が認められる傾向があります。

理由としては、第三者である専門職後見人が「仕事として」後見事務をこなしている、困難な事務が必要なケースで選任されることが多い、親族後見人が選任されるのは財産総額が少ないケースが多いなどが考えられます。

成年後見監督人も報酬がもらえますか?

もらえます。

成年後見人と同様、報酬付与の審判を申し立て、家庭裁判所が決定した金額を報酬として本人の財産の中から受け取ることができます。

成年後見監督人など(成年後見監督人、臨時保佐人、臨時補助人)の基本報酬は、財産総額が5000万円未満の場合は月額1~2万円、5000万円以上の場合は月額2~3万円と設定されています。

あくまで目安であり、個別具体的な事情によって変動します。

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後見事務にかかった費用は本人の財産から引き出すことはできますか?

後見事務にかかった費用については、本人の財産から支出することができます。

ただし、支出の必要性や本人の財産の状況などを考慮し、相当な範囲内で支出することが求められています。

後見事務にかかった費用として支出が認められるのは、本人の入所施設までの交通費、本人の収支を記録する帳簿等の代金、後見監督時に提出する財産・収支関係資料のコピー代金などです。

一方で、本人の見舞いの度に高級ホテルに宿泊して代金を本人の財産から支出したり、実際にかかったタクシー代金が数千円なのに数万円を引き出したりするなどの行為は認められず、返還を求められることがあります。

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