認知症サポーターとは?養成講座とキャラバン、サポーターの人数は?

厚生労働省は、高齢化に伴って認知症患者が増加するという予測の下、いくつもの認知症対策を打ち出しており、認知症サポーターもその一環として登場しました。

この記事では、認知症サポーターとは、認知症サポーターキャラバン、認知症サポーター養成講座について解説します。

認知症サポーターとは

認知症サポーターとは、認知症についての正しい理解と知識を持ち、地域の認知症患者やその家族をサポートする人です。

認知症サポーター制度に基づいて、特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク「全国キャラバン・メイト連絡協議会」と自治体などが実施する「認知症サポーター養成講座」を受けることで、認知症サポーターになることができます。

地域の認知症患者の見守りや支援などをボランティアで行っており、活動時は目印としてオレンジ色のブレスレット(オレンジリング)をつけることになっています。

認知症サポーター制度とは

認知症サポーター制度とは、厚生労働省が認知症への偏見をなくすことを目的として2005年に開始した認知症サポーター等養成事業です。

厚生労働省の認知症対策であるオレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)やそれに代わる新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)にも盛り込まれています。

新オレンジプランは、団塊の世代が75歳に達する2025年に向け、「認知症の人が住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けるために必要としていることに的確に応えていくこと」、つまり、「認知症の人の意思ができる限り尊重される社会の実現」を目指して、2015年1月に策定されています。

新オレンジプランには7つの柱があり、認知症サポーター制度は1つ目の柱の代表的な施策です。

  1. 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  2. 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
  3. 若年性認知症施策の強化
  4. 認知症の人の介護者への支援
  5. 認知症を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  6. 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
  7. 認知症の人やその家族の視点の重視

新オレンジプランについては、関連記事で詳しく解説しています。

関連記事

新オレンジプランとは?7つの柱の概要と厚生労働省の目標、改定内容は?

認知症サポーターに期待されていること

認知症サポーターに期待されていることは、以下のとおりです。

  • 認知症に偏見を持たず正しく理解する
  • 認知症の人やその家族を温かく見守る
  • 地域の認知症の人やその家族に対して、できる範囲のサポートなどを実践する
  • 地域でできることを積極的に探し、互いに助け合い、協力・連携できるネットワークを形成する
  • 認知症の人やその家族が暮らしやすい「まちづくり」を担う地域のリーダーになる

特殊なスキルや経験は必要なく、隣人として認知症の人やその家族に温かく関わり、自分にできる範囲でサポートをすることが何より求められています。

認知症サポーターキャラバンとは

認知症サポーターキャラバンとは、認知症の人とその家族を支援する認知症サポーターを養成し、認知症の人やその家族が安心・快適に暮らせる地域を目指す事業です。

特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク「全国キャラバン・メイト連絡協議会」が実施主体です。

全国キャラバン・メイト連絡協議会は、全国の自治体、企業、団体などと協力してキャラバン・メイトを養成します。

キャラバンメイト

キャラバンメイトとは、認知症サポーター養成講座の講師役を担う人材です。

医療従事者、介護従事者、地域の民生委員、行政職員など多く、彼らが自治体などと協力して「認知症サポーター養成講座」を開催して認知症サポーターを養成します。

キャラバンメイトの養成課程は大きく2つあります。

一つは、全国キャラバン・メイト連絡協議会と自治体が協力して開催した養成研修です。

認知症介護指導者養成研修の修了者、認知症介護実践リーダー研修の修了者、認知症と家族の会の会員などに該当し、年10回程度は認知症サポーター養成講座などの講師を担当できる人が対象となります。

この研修を修了した人は、地域住民や職域団体、学校など幅広い人々に対して認知症サポーター養成講座を開催できます。

もう一つは、全国キャラバン・メイト連絡協議会と企業・団体が協力して開催した養成研修です。

実施主体の認めた人が対象となり、研修終了後は企業の社員や団体の会員を対象として認知症サポーター養成講座を開催できるようになります。

認知症サポーターの人数

全国キャラバン・メイト連絡協議会は、全国の認知症サポーターの人数を発表しています。

  • 認知症サポーターの人数:9,835,590人(2017年12月31日時点)

2014年9月時点では約540万人でしたが、3年余りで1000万人に迫るまでに人数が増えています。

なお、認知症サポーターのうち、認知症サポーター養成講座を開催するキャラバン・メイトは147,674人です。

認知症サポーター養成講座

認知症サポーター養成講座とは、認知症サポーターを養成するために、キャラバン・メイトと自治体などが協力して開催する講座です。

認知症サポーター養成講座の受講方法を見ていきましょう。

受付窓口

認知症サポーター養成講座の受付窓口は、住んでいる全国の自治体の高齢者支援や認知症支援などを担当する課です。

地域によって課の名称などが異なるので、役場のインフォメーションで確認してください。

対象

認知症に関心があり、認知症を正しく理解して、認知症の人やその家族を温かく見守る気持ちのある人であれば、職業、性別、年齢などを問わず、誰でも参加することができます。

ただし、開講に必要な最低人数が設定されており、おおむね10人以上のグループで申し込む必要があります。

人数の要件を満たしていれば、企業の職員、学校の教師や生徒、各種団体の構成員など同じカテゴリーに属する人だけで参加することも、地域住民が声を掛け合って参加することもできます。

受講料

基本的には無料です。

ただし、テキスト代を徴収されることがある他、テキスト等の事前郵送を希望する場合はその代金がかかります。

また、特別な会場での受講を希望する場合は、会場代も参加者が負担します。

開催場所

自治体の会議室や公民館などで開催されることもあれば、企業のビル内、学校内、団体の本拠地内で開催されることもあります。

また、参加者が希望した場所に講師が出向く出前講義方式で開催されることもあります。

受講時間

一般的な受講時間は60~90分程度です。

講師

地域のキャラバン・メイトです。

キャラバン・メイトは、様々な経歴や職業の人がいますが、基本的に、特定のキャラバン・メイトを選択して受講を希望することはできません。

養成講座の内容

認知症サポーター養成講座の主な内容は、以下のとおりです。

  • 認知症サポーターキャラバンについて
  • 認知症について(原因、症状、診断、治療、介護・ケアなど)
  • 認知症の人と接する時のポイントや心構えについて
  • 認知症の人の家族や介護者の気持ちや負担について
  • 認知症サポーターができることについて
  • 相談窓口の紹介

小中学生など子どもを対象とする場合については、子どもでも理解しやすいよう大人とは別の内容が用意されています。

養成講座の開催数

全国キャラバン・メイト連絡協議会の発表では、2017年12月31日までの延べ開催数は、296,075回です。

うち半数以上が地域住民に対して開催されており、企業・団体、学校、行政、介護サービス関係者と続きます。

関連記事

地域包括ケアシステムとは?構成要素は植木鉢の図で分かる?課題と問題点は?

ピックアップ記事

  1. 認知症 離婚
    配偶者が認知症になると、介護負担、経済的困窮、夫婦関係の変化、老後の不安など様々な課題や問題が生じる…
  2. 認知症かなと思ったら,気づく,ポイント,チェック
    認知症を根治させる方法は見つかっていませんが、症状の進行を遅らせたり、日常生活の支障を和らげたりする…
  3. 障害者手帳 精神障害者保健福祉手帳 認知症
    認知症の人は、障害者手帳を取得することができます。 障害者手帳を取得していると、税金の控除・減免、…
  4. 認知症は、高齢者だけの病気ではなく、若いうちから発症することがあります。 65歳未満で発症した認知…
  5. 認知症カフェ
    認知症を発症すると、日常生活の様々な場面で支障が出て不安や焦りが募り、孤立しがちです。 また、認知…
  6. 新オレンジプラン 認知症施策推進総合戦略
    厚生労働省は、65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人が2012年時点で約462万人おり、20…
  7. 認知機能の減衰
    軽度認知障害(MCI)は、認知症予備軍やグレーゾーンと呼ばれる状態です。 放置すると症状が進行して…
  8. 認知症による物忘れと加齢による物忘れ
    認知症の主な症状の一つである記憶障害(物忘れ)は、加齢による物忘れと混同されやすいものです。 しか…
  9. 認知症の中核症状と周辺症状
    認知症の症状は、中核症状と周辺症状の2種類に分類されます。 認知症の中核症状と周辺症状は、起こる原…
  10. 認知症 基礎知識
    最近、認知症という名前はよく見聞きするようになりました。 しかし、認知症がどのような病気なのか、何…

特集記事

  1. 遺産分割 認知症

    認知症と遺産分割!相続人に認知症の人がいると成年後見人が必要?

    遺産分割は、亡くなった人(被相続人)の財産を相続人に移す法律行為であり、相続人には意思能力が備わって…
  2. 成年後見 申立て 申立人 申立費用 必要書類

    成年後見の申立て準備!申立人(申立権者)、申立費用、必要書類は?

    すでに判断能力が低下した人(本人)の支援のために法定後見制度を利用する場合、家庭裁判所に成年後見の申…
  3. 成年後見 申立て 審判 鑑定

    成年後見の手続の流れ!申立てから面接調査、鑑定、審判までの期間は?

    すでに判断能力が低下した人(本人)の支援のために法定後見制度を利用する場合、家庭裁判所に成年後見の申…
  4. 成年後見 審判 確定 後見人になれる人

    成年後見の手続の流れ!審判で後見人になれる人は?確定までの期間と登記は?

    すでに判断能力が低下した人(本人)の支援のために法定後見制度を利用する場合、家庭裁判所に成年後見の申…
  5. 成年後見登記制度 登記されていないことの証明書

    成年後見登記制度とは?登記事項証明書の申請と手数料は?登記されていない証明は?

    成年後見制度では、ある人が制度を利用しているかどうかについて、第三者が知ることができるよう登記の制度…
  6. 成年後見人 報酬 基準 相場

    成年後見人の報酬付与申立ての方法は?申立書・事情説明書の書き方、基準、相場は?

    成年後見人等は、本人の権利や財産を守るため、療養監護や財産管理の事務を行った報酬を受け取ることができ…
  7. 後見人 仕事 いつまで

    成年後見人の仕事はいつまで?辞める場合の条件と手続は?解任もある?

    成年後見人等は、一旦選任されると、当初の目的を達成しても仕事を続けることになっており、仕事を終えるこ…
  8. 後見 保佐 補助 呼び方

    成年後見監督人とは?職務と報酬、選任手続は?

    本人の親族等が成年後見人等に選任された場合、家庭裁判所が成年後見監督人等(成年後見監督人、保佐監督人…
  9. 成年後見人 仕事

    成年後見人の仕事内容は?療養監護と財産管理、家庭裁判所への報告とは?

    成年後見制度では、本人の財産や権利を守るために、家庭裁判所が成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人…

Facebookページ

ページ上部へ戻る