成年後見の申立て準備!申立人(申立権者)、申立費用、必要書類は?

すでに判断能力が低下した人(本人)の支援のために法定後見制度を利用する場合、家庭裁判所に成年後見の申立てをすることになります。

成年後見の申立て手続きの流れは、大きく①申立ての準備と②申立て後の手続(家庭裁判所の審理と審判)に分けることができます。

この記事では、成年後見の申立ての準備(法定後見の3つの類型(後見、保佐、補助)から利用する類型を決める、申立てをする人(申立権者)を決める、申立てをする場所(管轄)を確認する、申立て費用を準備する、申立てに必要な書類等を準備する)について解説します。

成年後見の申立て手続きの流れ

成年後見 申立て 申立人 申立費用 必要書類

  1. 法定後見の3つの類型(後見、保佐、補助)から利用する類型を決める
  2. 申立てをする人(申立権者)を決める
  3. 申立てをする場所(管轄)を確認する
  4. 申立て費用を準備する
  5. 申立てに必要な書類等を準備する

1.法定後見の3つの類型(後見、保佐、補助)から利用する類型を決める

法定後見制度には、後見、保佐、補助の3つの類型があります。

法定後見 後見 保佐 補助

3つの類型のどれを選択するかは、本人の判断能力によって申立ての前に選択します。

類型を選択する大まかな目安は、以下のとおりです。

  • 本人が日常生活に必要な物を一人で購入できない:後見
  • 重大な法律行為(自動車の購入、不動産の売買、金銭の貸し借りなど)が一人ではできない:保佐
  • 重大な法律行為を一人でするのは不安がある:補助

なお、申立人が3つの類型を選択して申立てをした場合でも、家庭裁判所が、申し立てた類型が本人の判断能力の程度に合わないと判断した場合は、類型の変更を求められることがあります。

2.申立てをする人(申立権者)を決める

成年後見の申立て(後見開始、保佐開始、補助開始)ができる人は、以下のとおり法律に定められています。

  • 本人
  • 本人の配偶者
  • 4親等内の親族
  • 市町村長
  • 検察官
  • 成年後見人等
  • 成年後見監督人等

申立ての前に、本人や親族、関係機関などと話し合い、誰が申立人になるかを決めておきます。

本人

本人とは、判断能力が低下して、支援を受ける必要がある人です。

成年後見の申立てをすることができる判断能力が残っている場合には、親族などの支援を受けながら、本人が申立人となることがあります。

本人の配偶者

本人の夫または妻です。

本人の判断能力が、成年後見の申立てをすることも難しい程度に低下している場合、本人の配偶者が申立人となることがあります。

4親等内の親族

4親等内の親族とは、1親等(本人の親や子)、2親等(孫や祖父母)、3親等(本人のおじ、おば、おい、めい)、4親等(いとこ)などのことです。

もう少し詳しく列挙すると、本人から見て以下の関係にある人が4親等内の親族となります。

子、孫、曾孫、曾孫の子、親、祖父母、曾祖父母、曾祖父母の父母、兄弟姉妹、おじ、おば、甥、姪、いとこ、配偶者の親、配偶者の祖父母、配偶者の曾祖父母、配偶者の子、配偶者の孫、配偶者の曾孫、配偶者の兄弟姉妹、配偶者の甥姪、配偶者のおじおばなど

成年後見の申立ての多くは、4親等内の親族から申し立てられています。

市町村長

市町村長が申立てることができるのは、老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づいて、本人の福祉を図るため特に必要と認められる場合です。

検察官

検察官は、他に申立権者がいない時に、公益の代表者として申立てることができます。

しかし、本人のための成年後見の申立てをする親類縁者が誰もおらず、市町村長の支援からももれるケースはごくまれです。

成年後見人等

成年後見人等とは、本人の成年後見人、保佐人、補助人のことです。

本人の成年後見人等が辞任する場合、新しい成年後見人の選任を求める申立てを家庭裁判所に申し立てることになります。

成年後見監督人等

成年後見監督人等とは、本人の成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人のことです。

成年後見人等の仕事ぶりに問題が認められる場合などには、成年後見人等の解任と新しい成年後見人等の選任を申し立てることができます。

3.申立てをする場所(管轄)を確認する

成年後見の申立てをするのは、本人の住所地を担当(管轄)する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄

家庭裁判所は、全国の都道府県にありますが、それぞれ担当(管轄)する地域が決まっています。

また、同じ都道府県内に家庭裁判所の本庁と支部があり、本庁都市部でも管轄が異なります。

管轄が違う家庭裁判所に申立てをしても受理してもらえないので、申立てをする前に管轄を確認しておく必要があります。

家庭裁判所の管轄は、近くの家庭裁判所の窓口で教えてもらえる他、インターネットでも検索することができます。

本人の住所地

本人の住所地とは、住民票上の住所地ではなく、「本人が実際に生活しているところ」です。

住民票は甲県の自宅に置いたままになっているけれど、実際は乙県の特別養護老人ホームで生活している場合は、施設の所在地を管轄する家庭裁判所に申立てをしなければなりません。

4.申立て費用を準備する

成年後見の申立てにかかる費用は、以下のとおりです。

  • 収入印紙:800円~
  • 収入印紙(登記用):2600円
  • 郵便切手:約4000円
  • 鑑定費用:約10万円
  • 申立て準備費用

収入印紙

家庭裁判所の手続にかかる費用は、収入印紙で支払います。

収入印紙の額は、申立ての内容によって異なります。

  • 後見開始:800円
  • 保佐開始:800円
  • 保佐開始+代理権付与:1600円(800円+800円)
  • 保佐開始+代理権付与+同意権・取消権の拡張:2400円(800円+800円+800円)
  • 補助開始+代理権付与:1600円(800円+800円)
  • 補助開始+同意権・取消権付与:1600円(800円+800円)
  • 補助開始+代理権付与+同意権・取消権付与:2400円(800円+800円+800円)

家庭裁判所の審判事件では、1つの申立てにつき800円がかかるため、保佐開始+代理権付与のように2つの申立てをすると倍の1600円がかかります。

収入印紙(登記用)

収入印紙(登記用)とは、成年後見登記にかかる費用です。

家庭裁判所の審判によって、本人について後見等が開始され、成年後見人が選任されると、その結果が東京法務局の後見登録課のコンピューターに登記されます。

この手続きを成年後見登記といいます。

審判の後、家庭裁判所の嘱託(依頼)に基づいて東京法務局が登記をすることになっており、申立人が手続きする必要はありません。

郵便切手

裁判所が申立人や本人の親族に書類を送付する時などに必要な郵便切手を、申立て時にあらかじめ渡しておくことになっています。

必要な郵便切手の額や内訳は、各家庭裁判所が独自に設定しているので、申立ての前に確認しておく必要があります。

鑑定費用

鑑定とは、本人の判断能力の程度を医学的に判定する手続きです。

申立て時に提出する診断書とは別に、家庭裁判所が医師に鑑定を依頼する時にかかる費用が鑑定費用です。

ただし、診断書の内容や本人の親族からの情報などから本人の判断能力が判断できる場合は、鑑定が省略されることもあり、その場合は鑑定費用はかかりません。

現在は、医者が作成した成年後見制度用の診断書で本人の判断能力が確認することができる場合は鑑定不要となることが多くなっています。

申立て準備費用

成年後見の申立てには、たくさんの書類を提出する必要がありますが、それらにかかる費用についても負担することになります。

申立て費用を負担する人

申立てにかかる費用は、申立人が負担するのが原則です。

ただし、申立人から申立て費用について本人の財産から支出したいとの申立てがあり、家庭裁判所が認めた場合には、例外的に、費用の一部を本人の財産から支出することができることもあります。

その場合、申立人が費用全額を立て替えておき、本人について後見が開始されて後見人が選任された後に、申立人から後見人に申立て費用を請求し、後見人が本人の財産から支払うことになります。

5.申立てに必要な書類等を準備する

成年後見の申立てに必要な書類等は、以下のとおりです。

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 親族関係図
  • 本人の財産目録
  • 本人の収支目録
  • 後見人等候補者事情説明書
  • 親族の同意書
  • 成年後見制度用の診断書・診断書付票
  • 各種費用(収入印紙、収入印紙(登記用)、郵便切手、鑑定料など)
  • 本人の戸籍謄本・住民票
  • 後見人等候補者の戸籍謄本・住民票
  • 本人の登記されていないことの証明書 (「成年被後見人、被保佐人、被補助人、任意後見契約の本人とする記録がない。」欄にチェックして取得)
  • 本人の財産や収支についての資料のコピー
  • 療育手帳のコピー
  • 認印(書類等を訂正する場合に必要)

この他、個別の事情に応じて追加の資料を求められることもあります。

戸籍謄本や住民票など公的機関から取り寄せる書類は、発行された日から3ヶ月以内のものを提出する必要があります。

家庭裁判所の窓口へ行くと、申立てに必要な書類等一覧を含む申立てセットを交付してもらえます。

また、申立書などは、記載例も含めて裁判所のサイトから電子データをダウンロードすることもできます。

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