成年後見監督人とは?職務と報酬、選任手続は?

本人の親族等が成年後見人等に選任された場合、家庭裁判所が成年後見監督人等(成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人)を選任し、成年後見人等の仕事ぶりを監督させることがあります。

この記事では、成年後見監督人等の職務、報酬、選任手続について解説します。

成年後見監督人とは

成年後見監督人とは、成年後見制度の一つである法定後見制度の後見類型において、成年後見人を監督する仕事です。

成年後見監督人は、家庭裁判所に選任され、成年後見人が後見事務を適切に行っているかどうかを監督して、家庭裁判所に報告する役割があります。

不適切な後見事務がある場合は、成年後見人に助言指導をして是正を促し、後見人の不正を発見した場合は、家庭裁判所に報告します。

成年後見監督人は、成年後見人等による不正対策としても活用されており、選任件数は制度開始時から右肩上がりとなっています。

監督人の名称

法定後見制度の類型によって、家庭裁判所が選任する監督人の名称は異なります。

成年後見人を監督するのが成年後見監督人、保佐人を監督するのが保佐監督人、補助人を監督するのが補助監督人です。

後見 保佐 補助 呼び方

成年後見監督人が選任される場合

成年後見監督人が選任されるのは、成年後見人だけでは適切な後見事務の遂行が難しいと家庭裁判所が判断した場合です。

具体的には、以下のいずれかに該当する場合、家庭裁判所が成年後見監督人を選任する可能性があります。

(1) 親族間に意見の対立がある場合
(2) 流動資産の額や種類が多い場合
(3) 不動産の売買や生命保険金の受領など,申立ての動機となった課題が重大な法律行為である場合
(4) 遺産分割協議など後見人等と本人との間で利益相反する行為について後見監督人等に本人の代理をしてもらう必要がある場合
(5) 後見人等候補者と本人との間に高額な貸借や立替金があり,その清算について本人の利益を特に保護する必要がある場合
(6) 従前,本人との関係が疎遠であった場合
(7) 賃料収入など,年によっては大きな変動が予想される財産を保有するため,定期的な収入状況を確認する必要がある場合
(8) 後見人等候補者と本人との生活費等が十分に分離されていない場合
(9) 申立時に提出された財産目録や収支状況報告書の記載が十分でないなどから,今後の後見人等としての適正な事務遂行が難しいと思われる場合
(10) 後見人等候補者が後見事務に自信がなかったり,相談できる者を希望したりした場合
(11) 後見人等候補者が自己もしくは自己の親族のために本人の財産を利用(担保提供を含む。)し,または利用する予定がある場合
(12) 後見人等候補者が,本人の財産の運用(投資)を目的として申し立てている場合
(13) 後見人等候補者が健康上の問題や多忙などで適正な後見等の事務を行えない,または行うことが難しい場合
(14) 本人について,訴訟・調停・債務整理等の法的手続を予定している場合
(15) 本人の財産状況が不明確であり,専門職による調査を要する場合

引用:裁判所|後見Q&A

その他、成年後見人のみでは適切な後見事務の遂行が難しい事情がある場合は、家庭裁判所が職権で成年後見監督人を選任します。

成年後見監督人の職務(仕事内容)

成年後見人の主な職務は、以下のとおりです。

  • 成年後見人の事務の監督
  • 急を要する事態への対応
  • 成年後見人が後見事務を遂行できなくなった場合、家庭裁判所へ新しい成年後見人の選任を請求する
  • 本人と成年後見人の利益が相反する場合、本人を代表する
  • 本人の財産の調査
  • 成年後見人に後見事務の報告を求める
  • 成年後見人が本人に代わって営業等をする場合に同意する
  • 成年後見人の解任請求

法律上、成年後見監督人が選任されている場合、成年後見人が本人に代わって営業または民法13条第1項に定める行為をするには、成年後見監督人の同意が必要です。

民法13条第1項に定める行為は、以下のとおりです。

  • 元本を領収し、又は利用すること。
  • 借財又は保証をすること。
  • 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
  • 訴訟行為をすること。
  • 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
  • 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
  • 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
  • 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
  • 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。

成年後見監督人に選任された直後の職務

成年後見監督人に選任された場合、以下の職務を行うことになります。

  • 記録の閲覧・謄写
  • 成年後見人との面談と財産目録作成場面への立ち会い
  • 成年後見人から提出された報告書等を精査し、家庭裁判所へ提出

記録の閲覧・謄写

成年後見監督人に選任された後、まずは、担当職員(書記官)に連絡して家庭裁判所へ行き、記録の閲覧・謄写の手続を行います。

記録を精査して、本人の後見が開始されるまでの経緯、本人の状態や財産、後見人の職業や経歴などを確認します。

成年後見人との面談と財産目録作成場面への立ち会い

成年後見監督人が選任された場合、家庭裁判所から成年後見人に対して、報告書等(後見事務報告書、財産目録、収支予定表、それらを裏付ける資料)を成年後見監督人へ提出するよう指示があります。

成年後見監督人は、成年後見人と面談して後見事務の方針を確認するとともに、財産目録の作成場面に立ち会います。

成年後見人等から提出された報告書等を精査し、家庭裁判所へ提出

成年後見人から報告書等が提出された後は、内容を精査した上で、報告書に署名押印して家庭裁判所へ提出します。

報告書等に不備や問題がある場合は、追加資料等の提出を指示し、成年後見人が指示に従わない場合は家庭裁判所へ報告します。

その後の成年後見監督人の職務

成年後見監督人は、必要に応じて成年後見人に後見事務の報告を求めたり、自ら本人の財産状況や生活状況を調査したりして、監督人としての職務を遂行します。

成年後見人に報告を求める内容や時期・回数については、成年後見監督人の裁量に任されているところがありますが、3~6ヶ月に1度は報告を求めるのが一般的です。

成年後見人に報告を求める内容

成年後見人に報告を求める内容は、以下のとおりです。

  • 後見事務報告書
  • 財産目録
  • 収支予定表
  • 上記書類の記載を裏付ける資料等

報告内容に疑問や問題がある場合は成年後見人に確認し、必要に応じて追加資料等を提出させます。

家庭裁判所への報告

成年後見監督人は、定期的に、後見事務と監督事務の状況を家庭裁判所に報告する必要があります。

提出する資料は、以下のとおりです。

  • 監督事務報告書
  • 成年後見人から提出させた報告書等

報告の期限はケースによって異なりますが、通常、1年に1度は報告するよう求められます。

報告の時期について、家庭裁判所から通知されることはないため、失念しないよう注意が必要です。

成年後見監督人の選任

成年後見監督人は、成年後見人等の申立てによって選任される場合と、家庭裁判所が職権で選任する場合があります。

家庭裁判所が職権で成年後見監督人を選任するのは、成年後見人だけでは適切な後見事務が困難だと判断した場合です。

例えば、親族間の争いが激しい、本人の財産が多いのに後見制度支援信託を利用していない、親族が成年後見人になっており後見事務に不安があるといった場合、職権で成年後見監督人が選任されることがあります。

成年後見監督人の報酬

成年後見監督人には、本人の財産の中から報酬が支払われることになっています。

成年後見監督人の報酬は、家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立て、家庭裁判所が決定した金額を、本人の財産から成年後見人に引き出してもらいます。

家庭裁判所の決定がない状態で、成年後見人に本人の財産から報酬を支出させた場合は不正行為とみなされて、家庭裁判所から監督人を解任され、刑事告訴される可能性もあります。

報酬付与の申立てには、監督事務の報告と同じ資料が必要になるため、監督事務の報告と同時に申し立てると効率的です。

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成年後見監督人の報酬額の相場と基準

成年後見監督人の報酬額は、本人の財産や監督事務の内容などに応じて、家庭裁判所が決定します。

しかし、一般的な相場は月額1~3万円となっています。

成年後見監督人の報酬は2種類(基本報酬と付加報酬)あり、目安となる金額や基準が裁判所のホームページ上に記載されています。

基本報酬

基本報酬とは、通常の監督事務を行っていれば支払われる報酬です。

  • 本人の財産額が5000万円以下:月額1~2万円
  • 本人の財産額が5000万円以上:月額2万5000~3万円

付加報酬

付加報酬とは、通常の監督事務以外に、本人のために特別に困難な事務を行った場合に、基本報酬に追加して支払われる報酬です。

付加報酬は、困難な事務を行った場合に限り、基本報酬額の50%を超えない範囲で相当額が付与されます。

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