認知症かなと思ったら?早期発見のポイントとチェック、病院受診の時期は?

認知症を根治させる方法は見つかっていませんが、症状の進行を遅らせたり、日常生活の支障を和らげたりすることはできるようになっています。

しかし、発見や診断が遅れ、症状が進行してから治療を開始しても、思うような効果は上がりません。

そのため、認知症にいち早く気づき、病院を受診して診断を受け、適切な治療を開始することが大切になります。

この記事では、認知症に気づくポイント、認知症かなと思ったらすべきことについて解説します。

認知症は早期発見、早期診断、早期治療が大切

現在のところ、認知症を根本的に治療する方法は発見されていません。

また、一部を除き、一度失われた認知機能を回復させる術もなく、現在の認知症の治療は、①症状の進行遅延と、②日常生活へ支障を及ぼす症状の緩和を目的として行われています。

そのため、認知症の人が、可能な限り長く認知機能を保ったまま生活を送るためには、早期に認知症に気づき(発見)、病院を受診して診断を受け、症状に応じた治療を受ける必要があります。

早期発見、早期診断、早期治療は他の病気や障害でも重要なことですが、認知症においても当てはまります。

特に、65歳未満で発症した認知症、つまり若年性認知症の場合は注意が必要です。

認知症は高齢者の病気だと認識している人が多い上、若いうちに症状が出ても疲れやストレスのせいだと思い込んで放置してしまい、発見や受診が遅れることが多いためです。

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認知症に気づくポイント

認知症の初期症状は、物忘れをはじめ、加齢による認知機能の低下によって生じる症状とよく似ています。

そのため、認知症の症状が出ても「年を取ったせいだろう。」などと考えて対応が遅れてしまいがちです。

早い時期に認知症に気づくポイントとしては、「公益社団法人認知症の人と家族の会」が発表している「家族がつくった認知症早期発見の目安」が役に立ちます。

この目安は、会員の経験を5カテゴリー20項目にまとめたものです。

医学的な診断基準ではなく、該当すれば必ず認知症を発症しているわけでもありませんが、日常生活の中で現れる認知症の症状が具体的に例示されており、認知症に気づく参考になるものです。

いくつかの項目に該当する場合は、早めに認知症の専門医を受診してみることが大切です。

物忘れがひどい

  • 今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる
  • 同じことを何度も言う・問う・する
  • しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
  • 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う

判断・理解力が衰える

  • 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
  • 新しいことが覚えられない
  • 話のつじつまが合わない
  • テレビ番組の内容が理解できなくなった

時間・場所がわからない

  • 約束の日時や場所を間違えるようになった
  • 慣れた道でも迷うことがある

人柄が変わる

  • 些細なことで怒りっぽくなった
  • 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
  • 自分の失敗を人のせいにする
  • 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた●不安感が強い
  • ひとりになると怖がったり寂しがったりする
  • 外出時、持ち物を何度も確かめる
  • 「頭が変になった」と本人が訴える

意欲がなくなる

  • 下着を替えず、身だしなみを構わなくなった
  • 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
  • ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる

引用:5.家族がつくった認知症早期発見の目安|認知症を知る|公益社団法人認知症の人と家族の会

物忘れがひどい(記憶障害)、判断・理解力が衰える、時間・場所が分からない(見当識障害)という中核症状に加え、人柄が変わる、意欲がなくなるなどの周辺症状にも触れられています。

より正確に認知症の初期症状を知りたい場合は、DSM-5やICD-10などの診断基準に当たる必要がありますが、家族や介護者が本人の認知症に気づく目安としては、十分な内容です。

認知症の症状は進行する

認知症の症状は進行します。

記憶障害であれば、最初は物忘れ程度で、過去のことはよく覚えていますが、症状が進行するにつれて過去と現在の区別がつかなくなり、過去の記憶も失われます。

見当識障害であれば、日時や場所の見当識がまず現れ、次第に人の見当識も障害されて家族や親戚の顔も分からなくなります。

繰り返しになりますが、現在は認知症により失われた認知機能を回復させる術がないため、症状が進んだ後に発見・診断・治療に至っても、本人の日常生活は著しく支障を受けることになり、家族の負担も大きくなります。

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認知症かなと思ったらすべきこと

「認知症かな」と思ったら、まずは本人をかかりつけの病院を受診させることが大切です。

家族や介護者が付き添い、医師に本人の様子を確認してもらうとともに、普段の本人の様子や気になる症状、日常生活の支障について説明することで、早期診断につながります。

かかりつけの病院の医師が認知症に詳しくない場合は、認知症の専門医の紹介を受けるか、物忘れ外来などを受診することになります。

「年を取ったせいだろう。」、「受診させると本人のプライドが傷つくのではないか。」などと考える人は少なくありませんが、早期発見が遅れると診断や治療が遅れ、結果的に本人が辛い思いをすることになり、その家族にも介護やケアの負担が重くのしかかります。

認知症発見の端緒の多くは、家族や介護者が「何かおかしい」と思って本人に病院を受診させたことです。

本人が自分で認知症をはっきり自覚し、受診することはほぼないので、家族や介護者の感覚と行動力がとても重要になります。

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認知症とは?原因と種類、症状、対応は?認知症のテストと予防は?

本人が病院受診を拒否する場合

家族としては一刻も早く受診させたくても、本人が拒否することがあります。

特に、「精神科」、「精神神経科」、「認知症」などの単語には敏感に反応し、プライドを傷つけられて怒りだすことも多いものです。

まずは、定期診断などでかかりつけの病院へ行くついでに医師に相談し、必要に応じて検査を受けさせる、専門機関を紹介してもらうなどするのが基本です。

本人の手前、受診時に医師と話すことが難しい場合は、あらかじめ電話で事情を説明する、本人の状態を書いた書面を渡すなど工夫が必要です。

どうしても本人が受診を拒否する場合、普段はあまり関わりのない親せきや知人、ヘルパーなどから受診を勧めてもらうと、本人が応じることがあります。

認知症のチェック方法

認知症の診断に使用される検査の一つに、長谷川式認知症スケールという検査があります。

長谷川式認知症スケールは、認知症の専門医の多くが使用している簡易な知能検査です。

「広い場所を必要とせず、短時間で実施でき、その場で点数を算出できる」、検査時間が10~15分と短い、検査後すぐに認知症の疑いがあるかどうか確認できるという特徴があります。

長谷川式認知症スケールは、ネット上でも検査方法や質問項目が掲載されており、セルフチェックすることができます。

ただし、長谷川式認知症スケールで分かるのは「認知症の疑いがあること」で、その結果だけで認知症と診断されることはありません。

また、長谷川式認知症スケールは、あくまで医師などが認知症診断のために用いるツールなので、本人や家族が実施した結果は参考程度に考えてください。

なお、認知症の検査は他にも複数ありますが、家庭で手軽にチェックできるものではないので割愛しています。

認知症ナビでも、長谷川式認知症スケールについて解説しているので、関心がある人は関連記事をご確認ください。

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