認知症疾患医療センターとは?厚生労働省が目指すセンターの役割は?

地域における認知症医療の中心的役割を担うのが、認知症疾患医療センターです。

認知症疾患医療センターは、厚生労働省の「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」における7つの柱の一つ「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」の具体的な施策として、積極的な設置や運用が求められています。

この記事では、認知症疾患医療センターとは(概要、設置数、類型)、役割・業務内容、利用方法について解説します。

認知症疾患医療センターとは

認知症疾患医療センターとは、医療・保健・介護などに関する機関等と有機的に連携し、認知症に関する相談、鑑別診断と初期対応、周辺症状(BPSD)や合併症への対応、研修会開催などを行う認知症専門の医療機関です。

認知症疾患医療センターは、都道府県や指定都市によって指定されます。

認知症患者とその家族が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、認知症の進行予防や地域生活の維持に必要な医療を提供しています。

厚生労働省が、老人性認知症疾患センターに代わる施設として2008年から創設を進めており、2012年に発表された「オレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)」にも盛り込まれています。

その後、2015年に発表された「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」では、7つの柱の一つ「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」の具体的施策として明記されました。

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認知症疾患医療センターの設置数

新オレンジプランでは、2017年度末までに全国各地に500カ所設置するという数値目標が掲げられていました。

しかし、設置数は伸び悩んでおり、2017年7月5日付で改訂された新オレンジプランでは、2016年度の実績が375箇所となっています。

数値目標については、2020年度末に500箇所設置に修正されています。

また、センター同士の連携の在り方や設置する地域についても言及されています。

基幹型、地域型及び連携型のより効果的、効率的な機能や地域での連携の在り方を検討するとともに、設置されていない地域がなくなるよう、2次医療圏域に少なくとも1センター以上の設置を目標とする

引用:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(平成29年7月5日改訂)

認知症疾患医療センターの類型

認知症疾患医療センターは、規模などに応じて3つの類型に分類されています。

  • 基幹型
  • 地域型
  • 連携型(診療所型)

基幹型

基幹型は、主な設置医療機関が総合病院、基本的な活動圏域が都道府県の認知症疾患医療センターです。

認知症の検査体制や、周辺症状(BPSD)・身体合併症がある人を入院させる設備が整備されています。

必要な人員配置は、認知症の専門医1人以上、専任の臨床心理技術者が1人、専任の精神保健福祉士または保健師等が2人以上です。

2015年12月28日時点で、全国14カ所の総合病院が基幹型に指定されています。

地域型

地域型は、主な設置医療機関が単科の精神科病院など、基本的な活動圏域が二次医療圏域の認知症疾患医療センターです。

人員配置は基幹型と同じですが、CT以外の検査機器や周辺症状(BPSD)・身体合併症がある人への対応は、他の医療機関と連携体制を確保することで担保しています。

2015年12月28日時点で、全国に303箇所設置されています。

連携型(診療所型)

連携型(診療所型)は、主な設置期間は地域の診療所、基本的な活動圏域が二次医療圏域の認知症疾患医療センターです。

人的配置は、認知症の専門医が1人以上、看護士・保健師・精神保健福祉士・臨床心理技術者などが1人以上(兼務でも良い)です。

検査器具や入院体制は整備されておらず、他の医療機関との連携体制を確保することで担保しています。

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認知症疾患医療センターの役割(業務内容)

認知症疾患医療センターの役割(業務内容)は、以下のとおりです。

  • 専門医療相談
  • 鑑別診断・治療方針の選定・初期対応
  • 周辺症状(BPSD)・身体合併症への対応
  • 関係機関との連携
  • 連絡協議会・研修会の開催
  • 認知症に関する情報の収集・発信

専門医療相談

認知症の人やその家族、介護・福祉の事業所などからの、認知症に関する相談を受け付けています。

精神保健福祉士など認知症の専門知識を持つ職員が相談を対応し、認知症の介護や医療についての相談に応じてくれます。

相談方法は面談または電話が多いですが、各センターによって異なるため事前確認が必要です。

鑑別診断・治療方針の選定・初期対応

鑑別診断や治療方針の選定、初期対応が必要な場合は、認知症疾患医療センターの医師が診察や検査を行って診断し、診断に基づいた治療方針の選定や初期対応を行います。

認知症の診断で使用される主な検査は、以下のとおりです。

  • 身体検査(血液検査、尿検査、胸部X線検査、心電図検査、内分泌検査、血清梅毒反応など)
  • 脳検査(脳波検査、脳脊髄液検査、神経学的検査など)
  • 脳画像診断検査(CT、MRI、SPECT、PETなど)
  • 心理テスト(認知機能テスト)(長谷川式認知症スケール(旧長谷川式簡易知能評価スケール)、ウェクスラー式知能検査、MMSE、アルツハイマーアセスメントスケール(日本版)など)
  • その他(遺伝子検査、病理検査など)

周辺症状(BPSD)・身体合併症への対応

認知機能の低下(認知症の中核症状)に加えて周辺症状(BPSD、精神症状や行動障害)が見られる場合、鑑別診断に基づいて薬物療法による治療を行い、日常生活への支障の程度や自傷他害のおそれなどによっては入院治療を行います。

地域型や連携型のセンターでは、必要に応じて連携している医療機関で治療や入院治療を行うことになります。

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関係機関との連携

認知症疾患医療センターは、地域包括支援センター、福祉・介護事務所、保健所などの関係機関と連絡・調整・連携し、医療から介護、介護から医療など分野をまたいだ支援がスムースに行えるような態勢を整えています。

連絡・調整・連携する相手は公的な団体だけでなく、認知症支援に携わる団体なども対象となります。

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連絡協議会・研修会の開催

認知症の医療や介護などに携わる器官の関係者などと定期的に連絡協議会を開催し、関係機関との円滑な連携に向けた情報共有や協議を行っています。

また、地域の関係機関や医療機関の関係者に対する研修会も開催しています。

認知症に関する情報の収集・発信

認知症疾患医療センターは、地域の認知症医療の中心的役割を担っており、認知症に関する最新の知見や海外の研究結果などを収集し、地域の医療機関などに発信しています。

認知症疾患医療センターの利用方法

認知症疾患医療センターを利用する場合の流れは、以下のとおりです。

  • かかりつけ医、地域包括支援センター、市町村などに認知症について相談
  • かかりつけ医などから認知症疾患医療センターを紹介を受ける
  • 専門医療相談(電話、窓口)
  • 鑑別診断
  • 認知症と診断された場合、センターで治療方針の選定や初期対応
  • かかりつけ医で治療、センターで治療、連携する医療機関の紹介を受ける、介護サービスの紹介を受ける

認知症疾患医療センターを受診する場合、かかりつけ医の紹介状がないと初診料を請求されたり、事前予約を求められたりすることがあります。

そのため、かかりつけ医以外から紹介を受ける場合でも、かかりつけ医に紹介状を書いてもらうとともに、事前予約の要否など受診方法を確認しておく必要があります。

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