認知症の原因は?4大認知症以外の原因、症状と治療法は?

認知症の原因疾患としては、アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)、脳血管障害(脳血管性認知症)、レビー小体病(レビー小体型認知症)、前頭側頭葉変性症が有名です。

これら4つの原因疾患による認知症が、認知症全体の約90%を占めており、一般的には4大認知症(前頭側頭型認知症を除いて3大認知症)と呼ばれています。

しかし、認知症の原因疾患は他にもたくさんあり、中には原因となる病気の治療により症状が改善するものもあります。

この記事では、4大認知症以外の認知症の原因、症状と治療について解説します。

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4大認知症以外の認知症の原因疾患

4大認知症以外で、認知症の原因となる主な病気は、以下のとおりです。

  • 進行性核上性麻痺
  • 大脳皮質基底核変性症
  • 正常圧水頭症
  • クロイツフェルト・ヤコブ病

進行性核上性麻痺

進行性核上性麻痺とは、脳内の神経細胞が減少することにより、しゃべりにくい、飲み込みにくい、すぐ転ぶなどの症状が現れる病気です。

難病に指定されており、パーキンソン病や、比較的軽度の認知症を合併することがあります。

40代以降に発症し、発症率が高いのは60~70代です。

進行性核上性麻痺の原因

脳内の大脳基底核、脳幹、小脳などの神経細胞が減少することが原因とされていますが、変化が起こる原因は分かっていません。

進行性核上性麻痺の症状

進行性核上性麻痺を発症すると、まず転びやすくなることや、体幹や首の硬さなどパーキンソン症状が目立つようになります。

バランスを崩しても手で支える反応が起きず、地面に顔面や頭を打ち付けてケガをしやすい他、足がすくんで前に出なくなるすくみ足、意識に関係なく歩く速さがどんどん早くなって止まれなくなる加速歩行なども見られます。

また、しゃべりにくくなる構音障害、飲み込みにくくなる嚥下障害、目を上下(特に下)に向けにくくなる眼球運動障害などの症状が現れます。

認知症の症状も見られますが、判断力が低下し、質問への答えに時間がかかるようにはなりますが、記憶障害や見当識障害は軽度に留まることが多いです。

進行性核上性麻痺の治療

根治法は見つかっておらず、対症療法が基本です。

進行性核上性麻痺の治療には、パーキンソン病の薬や抗うつ薬による薬物療法と、筋力やバランスを維持するためのリハビリテーション療法(非薬物療法)が行われます。

大脳皮質基底核変性症

大脳皮質基底核変性症とは、大脳皮質症状とパーキンソン症状が同時に現れる病気です。

大脳皮質症状とは、片方の腕が思うように使えない、動作がぎこちなくなる、不随意運動などがあり、パーキンソン症状には、体幹や首などの筋肉の固さ、歩行が難しい、動きが遅くなるなどです。

進行性の病気で、40代以降に発症しますが、好発年齢は60代です。

大脳皮質基底核変性症の原因

神経細胞が脱落して、残った細胞にも異常な構造が見られ、前頭葉と頭頂葉が委縮します。

しかし、こうした変化の原因は分かっていません。

大脳皮質基底核変性症の症状

初期の頃は、片方の腕が思うように動かず、動きも遅くなるなどの症状が現れ、時間の経過とともに同じ側の足もうまく動かなくなって歩行が難しくなります。

また、左右いずれかの空間を認識しない半側空間無視、言葉が出にくくなる失語、不随意運動、持続的に手足に力が入るミオクローヌス、認知症なども現れます。

大脳皮質基底核変性症の治療

大脳皮質基底核変性症の治療は、根治法が見つかっていません。

パーキンソン症状にはパーキンソン病薬を使用し、日常生活の支障となる症状を緩和することを目指します。

また、運動機能の低下を防ぐために、非薬物療法(リハビリテーション)を同時に行います。

正常圧水頭症

正常圧水頭症の前にまず、髄液と水頭症について見ておきます。

髄液(脳脊髄液)とは

私たちの頭の中には、髄液という液体が流れています。

髄液は、脳・脳神経の保護や栄養補給・老廃物の排出を担っており、頭の中で生成・分泌されて脳や脊髄を流れ、血中に吸収されます。

通常は、一定の圧(髄液圧)を維持していますが、何らかの原因で髄液圧が変化すると、脳や身体に様々な異常が起こります。

水頭症とは

水頭症とは、頭蓋の中に脳脊髄液(髄液)が過剰に溜まることで、脳が圧迫されたり、頭蓋内の圧力が高まったりする病気です。

正常圧水頭症とは

突発性正常圧水頭症とは、髄液圧は正常範囲に保たれているにも関わらず、脳室の中に過剰に髄液がたまって脳を圧迫し、様々な障害を起こす病気です。

水頭症の一つですが、髄液圧が正常なのに髄液が溜まって脳を圧迫するところが違います。

60~70代の発症率が高くなっています。

正常圧水頭症の原因

頭部外傷、くも膜下出血、髄膜炎などの病気に続いて発症するものを継続性正常圧水頭症、原因が特定できないものを突発性正常圧水頭症といいます。

高齢者に多いのは、原因が特定できない突発性正常圧水頭症です。

正常圧水頭症の症状

正常圧水頭症の主な症状は、歩行障害、認知症、尿失禁の3つです。

歩行障害

正常圧水頭症の初期症状として現れやすいのが歩行障害です。

足が上げづらくなってすり足になり、歩幅も狭まり、足を広げて歩く(がに股歩き)ようになります。

歩行がとても不安定で、後ろを振り向くときなどにバランスを崩して転んでしまいます。

症状が悪化すると、足を前に踏み出すことができなくなり、歩き出すと今度はうまく止まれなくなり、直立した状態も維持できなくなります。

認知症

正常圧水頭症では、意欲や自発性が低下する他、注意力や集中力も持続できなくなり、思考や行動が緩慢になっていきます。

ボーっとして過ごす時間が長くなり、声掛けへの反応が乏しくなり、趣味や仕事にも興味を示さなくなり、物忘れもひどくなります。

尿失禁

トイレが近くなり、我慢できる時間も短くなるため、トイレ以外の場所で失禁してしまうことが多くなります。

正常圧水頭症の治療

正常圧水頭症の症状は、髄液の流れを良くするシャント手術によって改善します。

シャント手術とは、脳室に溜まった髄液を体内の他の場所へ流す回路(シャント)を作る手術です。

髄液のシャント手術では、髄液を腹腔へ流す脳室ー腹腔シャント(V-Pシャント)、心房へ流す脳室-心房シャント(V-Aシャント)、腰椎へ流す脳室ー腰椎シャント(L-Pシャント)の3種類あります。

いずれの手術でも、歩行障害、認知症、尿失禁などの症状を改善させることができます。

ただし、症状が進行した後では手術の効果が薄くなるため、早期発見早期治療が大切です。

クロイツフェルト・ヤコブ病

クロイツフェルト・ヤコブ病とは、脳に異常なプリオン蛋白が沈着して脳神経細胞が障害される、プリオン病の一種です。

プリオン病の中でも認知機能障害が急速に進行する病気です。

難病指定されており、日本全国に500人を超える患者がいます。

クロイツフェルト・ヤコブ病の原因

クロイツフェルト・ヤコブ病の原因は、感染性を持つ異常なプリオン蛋白が脳内に沈着し、脳の神経細胞に障害をもたらすことです。

しかし、異常なプリオン蛋白がいかにして感染し、発症に至るかについては分かっていません。

クロイツフェルト・ヤコブ病の症状

主な症状は、性格の変化、記憶障害、歩行障害、視覚異常、抑うつなどです。

発症から数ヶ月間で急速に認知機能障害が進行し、通常、発症から6ヶ月以内に寝たきりになってしまいます。

クロイツフェルト・ヤコブ病の治療

現在の医学では、クロイツフェルト・ヤコブ病を治療することはできません。

症状の進行を遅らせる有効な方法も見つかっていません。

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