成年後見制度の親族の同意書と親族照会とは?内容と範囲は?反対すると?

成年後見制度を利用するには、家庭裁判所に後見開始の審判などの申立てを行い、審判で本人に後見等を開始し、後見人を選任してもらう必要があります。

後見等が開始すると本人の行為や資格・地位などに制限がかかるため、家庭裁判所は、その審理において審判に必要な情報を収集し、得られた情報を総合的に検討して審判で判断を下します。

審判の判断材料の一つとなるのが、親族の同意書や親族照会の結果です。

この記事では、家庭裁判所の審理の流れ、親族の同意書、親族照会について解説します。

家庭裁判所の審理の流れ

家庭裁判所は、本人やその親族などの申立権者から後見開始の申立てがあると、以下の流れで審理を行い、審判で本人に後見等を開始し、本人を援助する後見人を選任します。

  • 申立て書類と添付資料の書面審査
  • 参与員による事情聴取・家庭裁判所調査官による面接
  • 家庭裁判所調査官による調査
  • 鑑定
  • 審判

申立て書類と添付資料の書面審査

後見開始の審判等の申立てには、以下の申立て書類と添付資料が必要になります。

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 親族関係図
  • 本人の財産目録
  • 本人の収支目録
  • 後見人等候補者事情説明書
  • 親族の同意書
  • 成年後見制度用の診断書・診断書付票
  • 各種費用(収入印紙、収入印紙(登記用)、郵便切手、鑑定料など)
  • 本人の戸籍謄本・住民票
  • 後見人等候補者の戸籍謄本・住民票
  • 本人の登記されていないことの証明書 (「成年被後見人、被保佐人、被補助人、任意後見契約の本人とする記録がない。」欄にチェックして取得)
  • 本人の財産や収支についての資料のコピー
  • 療育手帳のコピー
  • 認印(書類等を訂正する場合に必要)

以上の書面・資料と申立て費用を家庭裁判所の窓口に持参し、後見開始の審判の申立てを行いたいと伝えると、窓口担当者がその場で書類や資料の書面審査を行います。

書面審査は形式的な審査なので、申立書や申立事情説明書の記載に不備がないか、申立てに必要な書類や添付資料が揃っているかなどがチェックされ、問題がなければ申立てが受理されます。

なお、申立てが受理された後は取下げが制限されるので、注意が必要です。

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参与員による事情聴取・家庭裁判所調査官による面接

申立てが受理された後、参与員による事情聴取または家庭裁判所調査官による面接が行われます。

 

いずれも対象は申立人で、申立ての動機や事情、本人の状況、判断能力、財産や収支、申立てに対する親族の意向などを聴取されます。

申立て時に提出した財産目録や収支目録などの資料に基づいて質問され、必要に応じて追加資料等の提出を求められることもあります。

家庭裁判所調査官による調査

申立人の事情聴取または面接が終わった後、家庭裁判所調査官が本人と面接したり、本人の入所先の職員から事情を聞いたり、本人の親族に照会を送ったり(親族照会)して、審判に必要な情報を収集することがあります。

調査が行われるか否かはケースによって異なります。

鑑定

鑑定とは、精神科の医師や本人の主治医などが、医学的な見地から本人の判断能力を調べる手続です。

家庭裁判所は司法機関であり、裁判官と言えど医療の専門的な知識は持ち合わせていないため、本人の判断能力については医師の判断を尊重することになります。

最近は鑑定を省略して手続が進められることが多いですが、法律上は、原則として鑑定を実施することと定められています。

現在は、申立て時に医師の診断書が未提出、提出された診断書では本人の判断能力の程度が分からない、診断書の内容と申立人などの陳述の齟齬が大きいなどの場合に、鑑定が実施されています。

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審判

家庭裁判所は、申立て時に提出された書面・資料、申立て後に職権で収集された情報などを総合し、審判の手続において、①本人に後見等を開始することと②本人を援助する後見人を選任します。

審判の結果は、申立人、本人、選任された後見人に通知されます。

親族の同意書とは

親族の同意書とは、①本人に後見等を開始することと、②申立書に記載された後見人候補者が後見人に選任されることについて、本人の親族の同意があることを家庭裁判所が確認するための書面です。

通常、申立ての前に親族に記載してもらい、申立て時に添付書類の一つとして提出します。

親族の同意書を作成してもらう範囲

家庭裁判所から同意書の提出を求められる範囲は、本人の推定相続人です。

推定相続人とは、ある時点で被相続人が亡くなったときに相続人になる人のことです。

例えば、本人の配偶者、本人の子ども、子どもがいない場合は本人の親、子どもも親もいない場合はきょうだいが推定相続人となります。

通常、後見開始の審判等の申立てを行う時点における推定相続人に対して、親族の同意書を作成してもらうことになります。

親族の同意書の書式

親族の同意書の書式は、家庭裁判所の窓口で申立書等と一緒に交付してもらえます。

親族の同意書には、以下の内容が印字されています。

  1. 私は、本人(氏名)の(続柄)です。
  2. 私は、本人について後見、保佐又は補助が開始されることに同意します。
  3. 私は、候補者(氏名)が、本人の成年後見人、保佐人又は補助人となることに同意します。

本人の親族は、本人(氏名)、(続柄)、候補者(氏名)欄に記載し、自身の年月日、住所、氏名、日中に連絡がつく連絡先を記載して、押印します。

 

作成した親族の同意書は申立人に渡し、申立て時に提出してもらいます。

参考:親族の同意書について(さいたま家庭裁判所)

同意書が作成してもらえない場合

本人の親族が申立てに反対していたり、後見人を誰にするかで申立人と異なる意見を持っていたりする場合、同意書を作成してもらえないことがあります。

その場合は、申立書や申立事情説明書に事情を記載しておけば、申立て後に家庭裁判所が親族照会を実施し、親族の意見を確認してくれます。

本人に後見等が開始されることや、候補者が後見人となることに反対する場合

親族の同意書には、本人に後見等が開始されることや、候補者が後見人となることに反対することを記載する欄はありません。

反対する場合は同意書を作成せず、反対であることを申立人に伝えておきましょう。

通常、反対の意思を表明して同意書を提出しなかった場合、申立人が申立てを行った後に家庭裁判所から親族照会が届くので、そこに反対する理由や後見人にふさわしいと考える人などを記載して返送します。

記載した内容によっては、家庭裁判所から電話や面接による事情説明や資料提出を求められることがあります。

親族照会とは

親族照会とは、①本人に後見等が開始されることや、②候補者が後見人となることについて、家庭裁判所が後見開始の審判等の審理の中で親族に確認する手続です。

申立て時に親族の同意書が提出されていない、申立書などに親族間の対立がある旨の記載があるなどの場合に、親族照会が実施されます。

家庭裁判所が親族照会を行う範囲

通常は、親族の同意書と同じで本人の推定相続人の範囲です。

しかし、推定相続人以外であっても、内縁関係にある人(本人と生計を共にし、その身上監護を行っている人)などが対象となることもあります。

親族照会の書式

親族照会の書式は公開されていませんが、照会される内容は、以下のとおりです。

  1. 本人について後見、保佐又は補助が開始されることについて
  2. 候補者が、本人の成年後見人、保佐人又は補助人に選任されることについて

いずれも賛成か反対かを記載し、反対の場合は理由や後見人としてふさわしいと考える人の情報(氏名、本人との続柄、住所、連絡先、ふさわしいと思う理由など)を記載します。

親族照会に回答がなかった場合

通常、親族が期限までに照会の回答をしなかった場合、意見なしとして審理が進められます。

期限後、審判までに回答すれば意見を聞いてもらえることもありますが、審判後は取り合ってもらえなくなります。

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